建築に興味を持つ方々なら、一度は「施工管理の仕事はきつくて大変だ」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。確かに、施工管理の仕事にはやりがいや魅力がたくさん詰まっていますが、同時に仕事量も多く、大変な側面もあるのは事実です。
しかし、今回の記事では、その大変さに立ち向かいながらも、働き方改革を実現したいと願う施工管理者の方々に向けて、解決策をご提案します。
建築現場では、さまざまな専門家が協力し、一つの作品を共に創り上げていきます。その中心となるのが施工管理者の役割であり、多くの人々を統率する重要な存在です。そのため、大変さは避けられません。
しかしこの記事では、仕事の分担や考え方の転換によって、施工管理の負担を軽減する方法を提案します。
働き方改革を実現するための具体的なアプローチをご紹介することで、施工管理の仕事に対する新たな視点を提供します。
ぜひ最後までお読みいただき、施工管理の仕事における新たな可能性を見つけ出してください。未来の施工管理者の方々にとって、より充実した働き方が実現できることを願っています。
施工管理の仕事とマネジメント能力との関係
施工管理の仕事とは
施工管理の仕事は、工事がスムーズに進むように管理することです。
納期に関わる工程管理、職人や作業員の人員管理、予算に関わるお金の管理、事故が発生しないような安全管理、仕様書どおりのものができているかの品質管理など、全ての管理を担います。
では、どのように管理するのかというと、コミュニケーションツールを用いて管理します。
建設現場の全体をまとめるという立場上、各関係者と上手く付き合うことが大切です。
施工管理は建物を直接建てるのではなく、言葉や図面といったコミュニケーションツールを用いて、仕事をうまく振り分けます。
建物の完成を目指し、設定した目標に沿って職人さんたち含む組織を運営するのです。
具体的には、建物の完成を目指すという大きな枠の中にある様々な仕事をどのように切り分け、誰に頼むのかを考え、お願いをする、つまり現場をマネジメントすることが主な仕事です。
マネジメント能力とは仕事の切り分け能力である
施工管理の仕事は現場をマネジメントすることだとお話しましたが、これは多岐にわたる業務です。
全ての業務をどのように振り分けるのかは、施工管理に任されています。
例えば、下地工事や石膏ボード張りの量が多い場合は3社に振る、土工ととびはセットでやっている会社に振る、土工の重機を使う工程は別の会社に振るなど、いかようにもできます。
また、施工管理だからといって必ずしも施工図を書かなければいけないわけでもありません。
自分で書くと決めるのも、外注すると決めるのも施工管理の仕事なのです。
書類を作る、議事録を印刷して会議に備える、会議の案内をするなどといった事務仕事の部分だって、現場事務を雇うという選択をしても良いのです。
つまり、この仕事をやらなければいけないというのは全て思い込みなのです。
施工管理の立場として現場をマネジメントするためには、仕事を切り分け、やるかやらないかを的確に決める能力が必要です。
施工管理の働き方改革に必要なマネジメント能力とは
2種類のやらない仕事を決める
ここまでお話してきたとおり、施工管理の仕事量は計り知れません。
全てを管理する立場だからこそ、「やらない仕事」を決めましょう。
「やらない仕事」には2種類あります。
まずひとつめは、「無駄な業務」です。働き方改革を進める上で、無駄な業務がないかをチェックしなければならないのは誰もが思いつくことだと思います。
そしてふたつ目は、「必要だが、自分(施工管理)ではやらない仕事」です。
現場を管理するという立場上、責任をもって全てをやりきらなければと気負いしている方もいるでしょう。
しかし、膨大な作業量によって施工管理がつぶれてしまっては、元も子もありません。
仕事を切り分けた上で、どの仕事を自分でやり、どの仕事を他の人に任せるのかをはっきりさせましょう。
やらない仕事を上手く推進する
当たり前のことですが、「やらない仕事」を決めるだけでは上手くはいきません。
施工管理として、必要だが自分(施工管理)でやらないと決めたものを、どのように振り分けるのかが今後の現場の成功につながります。
広い視野をもち、どこにどの仕事を振ることが最適なのかを考えましょう。今だけでなく未来を見据えることも必要でしょう。
「自分でやらずに誰かにお願いする」というのは、気が引けるかもしれません。
しかし、仕事を振ったからといって、100ある仕事が0になるわけではありません。施工管理として振り分けたからには、振り分けた先の業務の責任は施工管理本人にあります。
振り分けた業務が要望どおりに行われているかをチェックする責任があるのです。つまり、100ある仕事が0になるわけではないが、50くらいには減るといったところでしょうか。
多忙な施工管理にとって、50業務が減るだけでも余裕が生まれます。50減らして、しっかりと責任は取るというスタイルも立派な選択肢のひとつです。
また、仕事を周りに振ることで、お金がかかったり、最初少し時間を割くことになったりするかもしれません。
しかし、施工管理として「何でも自分でやる」というのは、正しいとは限りません。大切なのは結果的に良くなることを信じて、勇気をもってやりきることです。
まとめ
施工管理の仕事は、現場が滞りなく進むように、現場をマネジメントすることです。
そのために、やらなければいけない仕事はたくさんあります。
しかし、その仕事全てを施工管理自身がやらなければいけないという決まりはありません。
それどころか、施工管理にはその仕事たちを自由自在に振り分けることができる権利があります。
施工管理の「働き方改革」は難しいとあきらめるのではなく、広い視野と仕事を振り分ける覚悟をもって、自らの手で仕事を減らしていきましょう。
そうすることで、自分自身を見直していくきっかけになるのではないでしょうか。
「働き方改革」の今、まずは自分の手元から仕事をへらすことが出発点です。