「働き方改革って実際には何を意味しているの?」
このような疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。最近は至る所で「働き方改革」という言葉を耳にしますが、その具体的な内容や正しい理解には曖昧さが残ります。多くの方は、これを単に「働きすぎを改善すること」と認識しているかもしれません。
しかし、この重要な改革の方向性を誤ると、実は労働者をさらなる苦境に陥れることになりかねません。特に建設業界のように、人手不足と長時間労働が慢性化している分野では、この問題はより深刻です。適切な施策を講じずに、単に早く帰ることだけを強調する間違った改革は、新たな形のハラスメントを生む可能性があります。
この記事では、長時間労働に対する正しい働き方改革の進め方と、誤った改革によって引き起こされる「時短ハラスメント」の危険性について掘り下げていきます。働き方改革に前向きに取り組んでいる企業の方々にこそ、ぜひご一読いただきたい内容です。
この記事を読むことで、働き方改革に対するあなたの見解が変わり、実際に有効な改革を実践するための洞察を得ることができるでしょう。正しい働き方改革を理解し、実践することで、より健康的で生産的な職場環境を作り出す第一歩としましょう。
【ハラスメントの危険性あり】働き方改革の本質は『早く帰ること』ではない
働き方改革の本質を考える
「働き方改革」を考えたとき、最初に手を付けようとする問題は労働時間の短縮という会社が多いと思います。その際、『残業をなくして早く帰りましょう』という施策になりがちですが、果たしてこれは正解なのでしょうか。
長時間労働が問題となっている今、残業をせずに早く帰ることは間違ってはいません。しかし、100%正解とも言えません。その理由について考えてみましょう。
例えば、本日中に終わらせなければいけない膨大な仕事がある場合、早く帰ることができますか?
答えは簡単です。仕事を終わらせなければならないわけですから、もちろん早く帰ることはできません。そんな状況にも関わらず、「残業をせずに早く帰りましょう」と言われれば、どうでしょうか。理不尽だと文句を言いたくなりますよね。
これが100%正解と言えない理由です。
働き方改革の本質は、労働時間を減らすことではなく、労働時間を減らせるような働き方をすることにあります。会社側の立場から言うならば、労働時間を減らせるような働き方ができる環境を整える必要があるということです。
終わらせなければならない仕事は変えずにより効率よくこなすこと、つまり生産性の向上こそが「働き方改革」の本質といえます。
時短ハラスメントとは
時短ハラスメントとは、残業に関する具体策がないまま、上司や会社側が社員に対して、早く帰ることを強要することを指します。
残業をしたくてしている人がどれだけいるでしょうか。早く帰れるなら帰りたいと思っている人の方が圧倒的に多いでしょう。長時間労働をなくすための働き方改革であるはずなのに、労働者がハラスメントと感じてしまう理由はそこにあります。
直接的に「早く帰れ」とは言わずとも、勤怠管理をアプリやエクセルを使って行い、上層部に提出させることも同じです。やらなければいけない仕事があるのに、早く終わらせなければならないプレッシャーを感じざるを得ません。
これらは会社側の理解不足により、「残業時間を減らす」ということだけに焦点が当てられてしまった結果、ハラスメントになってしまっているという現状です。
このように、仕事の内容量は変わらないまま、労働時間だけを削減しようとする、そんな理不尽に時短を要求することが「時短ハラスメント」といわれるのです。
危険な時短ハラスメントを防いで正しい働き方改革を
近年では、様々な言動がハラスメントとして敏感に認識されるようになってきています。
時短ハラスメントを放置する危険性
時短ハラスメントを放置することは会社へ悪影響を与えます。
時短ハラスメントを受けた社員のほとんどは、会社でやりきれなかった仕事を持ち帰ることになります。自宅で行った仕事に対しては、正当な給料が支払われないため、仕事に対するモチベーションは低下する可能性があります。
その結果、生産性が低下してしまいます。
また、この状態が続くと、社員はどうにかして残業をしなくて済むように、手を抜いたり、個人の判断でやらない仕事を決めたりするようになります。
その結果、品質の低下に繋がります。
これは会社として、どこが大事でどこが大事でないかを明確にしていないために起こります。
会社が意図していない部分を減らしてしまうことから、思いもよらぬ形で会社としてのレベルが下がっている場合もあるでしょう。
正しく働き方改革をするために会社がやるべきこと
会社の存続に大きな影響を与えうる時短ハラスメントに対して、会社側はどのような対策をおこなえばよいのでしょうか。
答えは簡単です。早く帰れるための策を明確に提示することです。
明確に提示するためには、現場や働いている人たちの状況をきちんと理解することが大切です。
理解した上で以下のことを目標に策を考えてみましょう。
- 労働時間だけでなく業務量も減らすこと
- 業務を効率化すること
- ひとりあたりの生産性を上げること
どのような策が業務の効率化に繋がるかは、現場によって異なるはずです。同じ品質のものを、時間を掛けずに生み出すにはどうするかを念頭に考えてみるとよいでしょう。
「早く帰れ」と言うだけの時短ハラスメント:まとめ
今回、私たちは「早く帰れ」という単純な指示だけで働き方改革を進めることの危険性について深く掘り下げてきました。労働時間と業務量が釣り合わない状況では、たとえどれだけ努力しても、時間内に仕事を終えるのは困難です。ほとんどの労働者が、残業を好んで行っているわけではありません。残業は、しばしば未解決の問題や必要な業務プロセスの反映であることを忘れてはなりません。
無理に早く帰宅させることが、実際には業務の効率化や生産性の向上を妨げ、組織の全体的なレベルを下げる要因となり得ることを理解することが重要です。これは、時に時短ハラスメントとなり得ます。
真の働き方改革は、単に早く帰ることを強制するのではなく、効率的に業務を進めるための環境やプロセスを整えることから始まります。これには、業務の優先順位付け、適切なリソースの割り当て、そして何よりもチームの健康と幸福を考慮する文化の確立が含まれます。
この記事を読んだあなたは、早く帰るために必要な実際的なアプローチを考えるきっかけを得たことでしょう。働き方改革は単なるスローガンではなく、実際的なアクションと継続的な取り組みによって成果を生むものです。今日から、より効率的で健全な職場環境の構築に向けて、一歩を踏み出しましょう。
現場ラボの働き方改革事例は下記をご覧ください。