変わる建設業界、変われない中小建設会社。「今さらムリ無理」建設業界は病気なんです。


現代の建設業界は、重要な転換点に立っており、特に中小規模の建設会社が変化に対して消極的な姿勢を示していることが顕著です。この業界は伝統的に「建物」と「インフラ」の構築を任務とし、何千年もの間、伝承された技術によって支えられてきました。それにもかかわらず、デジタル化の波が押し寄せる中、伝統と革新の間でバランスを取ることが今求められています。

私が17年間経験した建設業界は、「どうせ無理」という消極的な思考、いわゆる「ドウセムリ病」に直面しています。この記事を通して、建設業界がどうして「病んでいる」と言われるのか、そして変革がなぜ必要なのかを深く掘り下げていきたいと思います。

具体的には、変化に対して消極的な中小建設会社の現状と、その態度が業界全体に及ぼす影響を詳細に解説します。さらに、デジタル化がもたらす新しい可能性についても探求します。建設業界は、伝統を大切にしながらも、時代の流れに適応し進化を続ける必要があります。

この記事を書いた人

腕組みをする運営者

株式会社 RaisePLAN 代表取締役

武田 祐樹(たけだ ひろき)

【これまでの活動】

  • 総合建設業に17年在職後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
  • 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
  • YouTube音声配信Instagramメールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
  • 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
目次

変わる建設業界

建設業の本質は「建物」と「インフラ」にあります。

この業界は、人々が生活する住宅から利益を生む商業施設まで、様々な建造物を生み出します。それらを繋ぐインフラは、社会を形成するために不可欠な要素です。これら建造物とインフラの構築は、建設業の重要な任務であり、何千年にもわたる歴史と伝承された技術、理念がその基盤を形成しています。この歴史と伝統が、業界のポリシーとプライドを生み出し、原動力となっています。

しかし、現代においては、建物やインフラに対する価値観が大きく変化しています。働き方や人々の繋がり方も変わり、技術や工法は急速に進化しています。3Dプリンターの使用は、この変化の一例です。

歴史の浅い産業では、時代に合わせて業態を変化させ、新たな技術を開発しています。多様性が定着し、いわゆる「ニューノーマル」が次々と生まれている現代において、建設業もまた、これらの変化に適応しながら進化を続けています。

変わることを拒む中小建設会社

現代の建設業界は、確かに技術や資材、職人の道具などが少しずつ変化しており、特に大手企業や研究機関ではテクノロジーを活用した新技術の開発が進んでいます。しかし、一般的な印象として、建設業界が大きく進化しているとは感じられないのはなぜでしょうか。

その一因として、中小規模の建設会社、特に地域密着型の企業が変化を受け入れることに消極的である現状が考えられます。多くの中小企業では、「建設業は従来通りの方法でやってきた」「デジタル化は必要ない」といった考えが根強く、パソコンがほとんどなくFAXでの対応や手書きの見積もりが一般的な場合も珍しくありません。

確かに、これらの会社は現状の業務形態で社会に貢献し、安定した経営を続けています。他人が無理に変化を強いることはないでしょう。ただし、建設業はチームでの作業が多く、もし一部の会社が変化に取り残されれば、それがチーム全体の足かせとなり、業界全体の進歩が阻害される可能性があります。

つまり、個々の企業がいくら前進しようとも、全体としての進歩は限られてしまうという課題が生じています。このような状況は、業界全体にとって新たな挑戦とも言えるでしょう。

建設業は「ドウセムリ病」にかかっている

建設業界には、「どうせ無理」という消極的な思考が根付いているようです。多くの従業員は、デジタル化や新技術に対して悲観的な見方をしています。

「デジタル化は無理。スマホ操作もままならないのに」
「新しいことをやっても、どうせ今までと変わらない」
「本腰を入れないと、ちょっと手を出した程度でうまくいかない」

このような「どうせ、どうせ、どうせ」という思考は、「ドウセムリ病」とでも言える現象です。業界全体が、自分たちの業務が最先端テクノロジーからかけ離れていると感じ、ITを難しいものと決めつけてしまっています。この結果、新しいことに挑戦せず、学ぶ意欲も失われがちです。若者がこの業界から離れ、新しい人材が集まらない傾向も見られます。

地元密着型の工芸品製造などでは、変わらない伝統技術の継承が重要かもしれません。変化することが必ずしも正しいとは限りません。しかし、建設業は異なります。人々の生活を支える業界として、時代と共に成長し続ける必要があります。「5Gって何?」という疑問を持つ人がいる間、その基地局を建設することは難しいでしょう。建設業は、常に時代と共に進化し続ける必要があるのです。

デジタル化は怖くない

デジタル化は、実は難しいものではありません。紙の資料を、スキャンした瞬間にデジタル化は成立するんです。誰かにメールを送った瞬間にデジタル化は成立するんです。そして、全ての技術は、その延長線上にあります。全く新しい「概念」ではないんです。

もっと便利にという考えを追求した結果であり、根本のところはデジタルだろうとアナログだろうと、結局同じなのです。ほんの少しだけ興味をもってみましょう。ほんの少しだけ学んでみましょう。ほんの少しだけチャレンジしてみましょう。

まとめ

本記事では、建設業界が「ドウセムリ病」にかかっているという内容を解説しました。

さらに、業界が進化し競争力を維持するためには、新しい技術やアイデアを積極的に取り入れ、業界全体で変化を受け入れ、課題を克服する必要があることをお伝えしました。

現場ラボは、建設業界が進化するための情報やリソースを提供することで、業界全体が変化を受け入れ、進化するための支援をしています。建設業界がルーツを大切にしながら進化し、社会に貢献し続けることができるよう、私たちも全力でサポートしていきます。

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