異なる世代間のコミュニケーション術

皆さんの中には、「あの職人さんは自分の親よりも年上で接しづらい」と感じている若手もいるのではないでしょうか。一方で、先輩方からすると、「最近の新人は何を言っているのか全然わからないし、どう動かせばいいのかもわからない」とストレスを抱えている方もいるかもしれません。

これは施工管理に限ったことではありませんが、異なる世代間でのコミュニケーションは必須です。特に建設業界では高齢化が進んでおり、新人や若手にとって上の世代とのコミュニケーションは難しい場面が多いでしょう。

そこで今回は、異なる世代が共存する中で、どのようにコミュニケーションを取って信頼を築きながら仕事を進めていくかについてお話ししたいと思います。

人間関係が原因で仕事を辞める人が多い現状を考えると、コミュニケーションの取り方を見直すことは非常に重要です。今回のテーマは「異なる世代間のコミュニケーション術>>相手を敬いましょう」です。ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

腕組みをする運営者

株式会社 RaisePLAN 代表取締役

武田 祐樹(たけだ ひろき)

【これまでの活動】

  • 総合建設業に17年在職後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
  • 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
  • YouTube音声配信Instagramメールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
  • 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
目次

多様な年齢層が共存する建設業界

建設業界では、多くの異なる世代の人々が一緒に働いています。現場では、年配の方から新人まで、さまざまな年齢層の人々が入り混じって仕事をしています。

例えば、派遣社員が30代で、正社員である自分がその人たちに指示を出さなければならない場面もあります。また、同じ事務所内にはサブコンの人もいて、その人たちが非常に優秀である場合、自分が指示を出しても良いのか不安に感じることもあるでしょう。

また、現場に一歩出れば、さまざまな年齢層の人々が働いています。中には、自分の親や祖父母ほど年齢が離れている人もいます。そうした人々と接する際、または自分が年齢を重ねたときに逆の立場になったとき、どのような心持ちで接するのが一番良いのか、今回はそのポイントについて解説していきます

コミュニケーションのポイントは2つ

異なる世代間でうまくコミュニケーションを進めるポイントは大きく2つあります。

  1. 相手を敬うこと
  2. 得て不得てを理解すること

たったこれだけ。これらのポイントを押さえることで、年齢や世代が違っても、基本的なコミュニケーションスタンスとして有効です。見た目や先入観に惑わされず、根本に立ち返ることが重要です。それでは、もう少し詳しく解説していきましょう。

1つ目:相手を敬うこと

まずは、相手を敬うことが基本です。どんな年齢であれ、適当に扱われて気持ちの良い人はいません。たとえ自分が年上であったり、立場が上であったりしても、「おい、そこのお前!」と言われたら、誰だってイラッとします。同じように、自分より年下の人に偉そうにされたら、もっと腹が立つでしょう。

相手がどんな年齢や立場であれ、適当に扱わないことが大切です。たとえその場限りの関係と思っていても、次の現場で再会する可能性もあります。適当に接して、次に仕返しされることだってあり得ます。どんな人とでも長く続く可能性があること前提に考え、相手を敬う姿勢を持つことが重要です。

相手を敬うことは、仕事をスムーズに進めるための基本です。相手の経験や知識を尊重し、自分の知らないことを知っている人として接することが大切です。例えば、年上の人は自分より多くの経験をしているかもしれませんし、逆に自分が得意な分野では自分の方が経験豊富かもしれません。

年齢にこだわりすぎず、相手の持つ知識や経験を尊重することで、自然と敬う気持ちが生まれます。「おい、そこのお前!」といった言葉が出ることはなくなります。相手を敬うことで、相手も自分を尊重してくれるようになります。これが信頼関係を築く第一歩です。

そして基本的なことですが、挨拶もまた、相手を敬う気持ちの表れです。「おはようございます」と自ら進んで挨拶することで、相手との良好な関係が築けます。偉くなるほど、相手に対して敬意を払えなくもなっていきます。相手を尊重し、自分から積極的にコミュニケーションを図ることで、現場の雰囲気も良くなっていくのです。

2つ目:得て不得てを理解すること

さて、二つ目のポイントに進みましょう。得て不得てを理解することです。どんな領域においても、相手はあなたよりも優れている部分があるのです。例えば、先ほどお話ししたように、仕事では相手が優れているかもしれませんが、あなたが得意なゲームの分野ではあなたが上かもしれません。そうした考え方で問題ありません。

人間の能力は基本的にある程度決まっており、その配分先が違うだけです。建設業に特化している人もいれば、ゲームやカラオケ、髪型に特化している人もいるでしょう。どこかに特化している分、他の部分が劣るのは自然なことです。つまり、得意なことがあれば、不得意なことも必ずあるのです。

建設業で働いている人たちは、建設業に関しては非常に優れています。しかし、中にはあなたよりも劣る部分があるかもしれません。例えば、うまく言葉を伝えられない、不器用な人もいるでしょう。無表情な人や、もう少し表情を豊かにしてほしいと感じる人もいます。これらも得て不得ての一部であり、年齢には関係ありません。

年上だろうと年下だろうと、誰にでも得意なことと不得意なことがあります。どこが劣っているかに焦点を当てるのではなく、相手がどこで優れているかを見つけることが重要です。相手の得意分野に目を向け、理解しようとすることで、関係性は良好になります。逆に、相手の不得意な部分ばかりに目を向けると、関係はギスギスしてしまいます。

相手の得意な部分を見つけ、それにフォーカスすることで、その人がどんな人か理解しやすくなります。得意な部分を尊重し、不得意な部分は自分が補うという形で、ギブアンドテイクの関係性を築くことが大切です。これにより、世代が違っても平等な関係を保つことができるのです。

まとめ:信頼関係の構築

ここまでで、異なる世代間のコミュニケーション術において、2つのポイントをお話ししました。まず1つ目は「相手を敬うこと」、そして2つ目は「得て不得てがあることを理解すること」です。これらのポイントは、世代間の違いや年齢に関係なく、人間関係において基本的なスタンスです。誰もが持つ得意分野や不得意分野を認識し、相手を敬うことが、良好な関係性の基礎となります。

基本的に、世代や年齢を問わず、全ての人を敬うことが鉄則です。これだけで関係性は劇的に改善され、信頼関係も築きやすくなります。例えば、話すのが苦手な人、運動が苦手な人、好き嫌いが多い人、口が悪い人など、誰にでも良くないところやできないところはあります。

しかし、そうした不得意な部分に焦点を当てるのではなく、「そういうところもあるんだ」と認識し、その上で「得意なところはどこだろう?」と探すことが大切です。例えば、「セパ回すのが上手い」「バランス感覚が優れている」など、相手の得意な部分を見つけることで、信頼関係を築きやすくなります。

相手を敬い、得意な部分を認め合うことで、「この人に頼ろう」という気持ちが生まれます。これが、相手を敬うことと平等の中で得手不得手を見極めることによって、助け合う信頼関係を構築するための基本です。

今回のテーマは、異なる世代間におけるコミュニケーション術でした。ぜひ、参考にしていただき、皆さんが信頼関係を築けるような人間関係を構築していただければと思います。

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