皆さんこんにちは、ライズプランの武田です。
突然ですが、もし「女なんて掃除して飯だけ作ってくれりゃいいんだよ」という言葉だけを聞いたら、どんな印象を受けるでしょうか。不快に感じた方がいらっしゃったら申し訳ありません。これは、情報の「切り取り」が持つ怖さをお伝えするための例えです。
たとえば、この発言の前後に「そんな時代はもう終わり。これからはもっと女性が活躍できる社会を作るべきだ」という主張があったとしたら、意味はまったく変わりますよね。けれど、文脈を無視して言葉の一部だけを切り取ると、まったく逆の印象を与えてしまいます。
実はこの「切り取り」の話、私たちの現場で扱う工事写真にも大きく関わってくる考え方なんです。
今回は工事写真に潜むリスクとその本質的な意味についてお話しします。日々の業務の中で、ぜひ意識していただけたらと思います。
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【保持資格】
- 一級建築士
- ー級建築施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
【これまでの活動】
- 総合建設業で施工管理として17年勤務後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上と施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業庁「デジタル化応援隊事業」のIT専門家。
- YouTubeチャンネル『建設業を持ち上げるTV』を運営し、登録者1.2万人を獲得。教育特化長尺動画が8万回再生を突破。
- Instagramや音声配信など多メディアで情報発信。
- 電子書籍出版やオンラインセミナーを精力的に実施。
- 2023年3月、AbemaPrime出演で現場効率化施策が注目。
記事の監修

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武田 祐樹(たけだ ひろき)
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工事写真の本質:なぜ「証拠」が必要なのか?
改めて、もし先ほどの言葉で不快な思いをさせてしまった方がいらっしゃれば申し訳ありませんが、これも一つの例え話としてご理解ください。私はそのような思想を持っているわけではありません。
実は、工事写真にはこれと近い要素があるのです。
まず、工事写真とは何でしょうか? 建築でも土木でも、建築現場では必ずカメラやスマートフォン、タブレットを使って工事写真を撮影します。特に1年生や2年生の若い頃は、こればかりやらされているという方もいるかもしれません。
その意味合いは、もうお分かりですよね? 要するに、証拠を残すためです。
私たちはちゃんとした仕事をしてきたんです、ということを証明するため。もし完成後に「ちゃんとやってたの?」と問われた時に、写真がなければ「ちゃんとやってました、でも証拠はありません」となってしまいます。数年後に地震が起きて建物が崩れた際、もし証拠がなければ、当然会社の責任が問われることになりかねません。
だからこそ、隠蔽部と呼ばれる鉄筋や杭など、後から見えなくなる部分は特に重点的に撮影します。また、工事には必ず手順がありますから、その手順に沿ってしっかりと工程を経て作業していることを記録に残すことで、会社を守るという意味合いがあるのです。
つまり、きちんとやってきた証拠をきちんと収めておくことで、皆さん自身を守ることができる。これが工事写真の本質です。
工事写真の「リスク」:証拠になることのもう一つの顔
ところが、この「証拠になる」というメリットを持つ工事写真にも、デメリット、つまりリスクがあるのです。それは何かというと、これもまた証拠になることなのです。
「どういうこと?」と思われたかもしれませんね。これもぜひ理解していただきたい点です。
例えば、鉄筋の写真を撮っているとします。被写体となる鉄筋には気を使い、しっかりと映るように撮影しているとしましょう。しかし、もしその写真の後ろの方に、重機が動いているのが映り込んでいたとしたら? さらに、その重機が動いているすぐ横で、ヘルメットを外した職人さんが立っているのが一緒に映っていたとしたらどうでしょう?
この写真は、鉄筋がしっかりと施工されているという証拠であると同時に、この現場が不安全であったという証拠にもなってしまうのです。
もしかしたら、その日はものすごく暑くて、一瞬ヘルメットを外して汗を拭っていただけのシーンかもしれません。しかし、そうなったとしても、そんなことは言い訳にしかなりません。なぜなら、前後の脈絡はなく、そこだけが画像として「切り取られて」しまうからです。それは立派な証拠となり、結果として「この現場はなんて不安全な現場なんだ」ということを証明する書類になってしまうのです。
他の現場全体を見渡せば非常に整理整頓されているにもかかわらず、たまたまそこで作業していた人がいて、その場所だけが汚れていたとします。そこで材料写真を撮らなければならないからと写真を撮った結果、その映像に写っている範囲がひどく乱雑に見えたとしましょう。
すると、周りが整理整頓されていたという状況にもかかわらず、その汚いところだけが「切り取られる」形になります。その切り取られた写真を見た人は、「この現場はめちゃくちゃだったんだな」という印象を持ち、それが証拠として残ってしまうのです。
どのように言い訳をしようと、結局工事写真はその瞬間の切り取りでしかありません。その切り取られたシーンがもし汚かったり、不安全であったりすれば、「その現場全体が不安全だったのではないか」と疑われてもおかしくない状況になってしまうのです。これが、証拠に残ることによるリスクです。
整理整頓と確認の重要性
おそらく先輩から「写真撮る時は周りを綺麗にしてから撮れよ」とか「周りをちゃんと見渡してから撮れよ」と言われることがあるかと思いますが、くれぐれも気をつけてください。
写真は、長い時間の中のほんの一瞬の切り取りでしかありません。だからこそ、この「切り取ったシーン」が良いのか悪いのか、それが全てになってしまうということもあり得るのだと理解して、工事写真をしっかりと進めていただきたいと思います。
もちろん逆もあります。他がぐちゃぐちゃなのに、そこだけ綺麗にして写真を撮ることができれば、「確かにこの現場は綺麗だったんだね」という証拠を残すこともできます。しかし、そのような場合は結局事故が起こったり、良くない段取りでうまくいかなかったりします。そもそも不安全・不衛生な状態や整理整頓されていない状態では、不具合が出てくることになりますので、それはダメです。
しかし一方で、他が綺麗なのに、わざわざ汚いところを撮ってしまうことに関するリスクは大きいのです。もし先輩が「見栄えが悪いから」という理由で整理整頓を促していると理解していたのなら、それは少し違います。今回の話で、「整理整頓をして写真を撮ること」、そして「周りを一旦見渡してから、後ろに余計なものが写っていないかをしっかりと確認して写真を撮ること」の重要性が理解できたのではないでしょうか。
工事写真は、まず自分の中で工事の手順をしっかりと理解するために、勉強としても非常に有効です。1年生や2年生など若いうちが、一番現場を走り回って写真を撮る場面が多いでしょう。しかし、一方でまだ建築の知識がないと、本当に余計なものが写りかねない部分もあります。
ですから、必ずその日のうちに写真を整理し、先輩に一度チェックしてもらうという習慣をしっかりと身につけてください。そうしないと、皆さんが「撮っていいもの」と「撮ってはいけないもの」を判別する教育の機会が失われてしまいます。早めに整理して早めに確認してもらうことを、毎日習慣づけることも大切なポイントです。
まとめ
工事写真の最大の役割は、「きちんと施工した」という証拠を残すことです。しかしその一方で、その写真が“どんな現場だったか”を一瞬で判断される材料にもなり得るというリスクを、私たちは理解しておく必要があります。
写真は現場の一瞬を切り取ったものであり、それを見た人には「その一瞬=その現場のすべて」として伝わってしまうかもしれません。
だからこそ、撮影前の整理整頓や安全確認、写り込みへの配慮が大切になります。また、日々の振り返りや先輩との確認を通して、「撮っていいもの・悪いもの」を見極める感覚を磨いていくことも重要です。
工事写真は、あなた自身を守るための武器であり、同時に現場全体を映し出す鏡でもあります。
「どう見られるか」までを意識して、今日からの1枚を丁寧に残していきましょう。

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