【新人施工管理必見】失敗しない工事現場写真の撮り方のコツ7選

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工事写真を撮り忘れた経験や、撮ったけれども使えない写真ばかりだったという悩みは、建設業における新人や若手にとっては非常に共感を呼ぶ話題ではないでしょうか。

今回は工事写真の撮影技術についての重要性と基本的なコツをご紹介します。

建設現場での写真は、単に進行を記録するだけでなく、工事の質や安全性を評価し、改善するための重要な手段となります。初めての撮影でも、基本を理解し適切な計画を立てることで、その効果は計り知れないものになるでしょう。

本記事では、工事写真を効果的に撮影するための方法を、初心者でも理解しやすい形で解説します。

この記事を書いた人

腕組みをする運営者

株式会社 RaisePLAN 代表取締役

武田 祐樹(たけだ ひろき)

【これまでの活動】

  • 総合建設業に17年在職後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
  • 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
  • YouTube音声配信Instagramメールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
  • 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。

工事写真は新人や若手にとって当流門的な業務でありながら、その量が非常に多く、先輩に「これダメだな」と言われても、その「ダメ」の意味が分からないことが多いと思います。

そこで、ダメな写真を量産しないために、そして適切なタイミングでしっかりとした写真を撮るために、ぜひ皆さんに知っておいていただきたいポイントがあります。私が実際にたくさんの写真を撮ってきて気をつけている7つのポイントを解説していきます。

目次

写真にメッセージを込める

まずは1つ目は、「写真にはメッセージを載せる」ということです。これが最初に皆さんに伝えたいことです。写真1枚1枚には、ただ撮るだけではなく、その写真が何を伝えたいのかを考える必要があります。そのために、どういう風に撮れば伝わるのかをしっかりと理解しなければなりません。

例えば、ケーキのアップの写真があったとします。美味しそうなケーキを撮った写真ですね。この写真のメッセージは「美味しそうなケーキでしょ」というものです。では、その写真をぐっとアングルを引いた時、その写真の向こう側に男の子がいて、三角の帽子を被っていたとしましょう。この時のメッセージはケーキが主役ではなく、「この男の子の誕生日でした」ということを伝えたいのだと思います。だからこそ、三角の帽子もアングルに入るように撮るわけです。

さらに引いて、その後ろにたくさんの子供たちがいる状態で写真を撮るとしましょう。全く同じタイミングで撮った写真でも、アングルを変えるだけでメッセージが変わります。この場合のメッセージは「誕生日パーティーをみんなに開催してもらいました」というものになるのです。

つまり、メッセージはアングルやタイミングによって変わります。写真には何を撮りたいのか、何を伝えたいのかのメッセージをしっかりと載せなければ、相手には伝わらず、結局使えない写真になってしまいます。皆さんは何を伝えたいのか、それをどう表現するのかをしっかりと考えながら撮影しましょう。

撮影計画を立てる

2番目のポイントは「撮影計画を立てる」ということです。

現場に行って目についたものをとりあえず写真を撮るという人もいるかもしれません。先輩に「撮ってこい」と言われて撮っているだけの人もいるかもしれませんが、これでは使えない写真を量産することになります。さまざまな失敗例がありますよね。たとえば、写真を撮りに行ったら作業が終わっていたとか、少し遅れてしまって「ここしか写真が撮れない、しかもあまり見栄えが良くない場所だ」といった場面もあるでしょう。

だからこそ、撮影をどこで、いつ、誰に、どのようなアングルから撮るのかを事前に決めておくことが重要です。これを「撮影計画」と呼びます。工程表を見ながら、何月何日に撮ろう、図面を見ながらこのポイントが一番良いな、現地に見に行ってこのアングルから撮った方が良いな、といったことを事前に決めておくかどうかで、撮影のレベルは大きく変わってきます。

しっかりと何の写真を撮るのかをあらかじめ決め、計画を立て、それに基づいて進めていくことが基本的な鉄則です。

「3枚1セット」の原則を守る

3つ目は「3枚ワンセットの原則を守る」ということです。写真は基本的に3枚ワンセットを意識して撮りましょう。例えば、施工前の写真、施工中の写真、そして施工完了の写真、これで3枚ワンセットです。工事にはいくつかの取るポイントがあると思いますが、それを常に3の倍数になるように考えましょう。

もしもどうしても4枚撮らなければならないという場合には、4枚ではなく6枚にします。7枚になってしまう場合には、どうやって9枚にするかを考えながら写真を撮っていくのです。基本的には3枚ワンセットで工事写真を撮ることを意識しましょう。そうすると何が起きるのか、工事写真を整理する時には大抵の場合、3枚の写真がワンセットになっていきます。

3枚、つまり3の倍数で整理すると、非常に綺麗に並べやすくなり、迷いが少なくなります。その上、写真に余白ができないので、非常に見やすい写真整理ができます。写真を撮る時には必ず3枚、3の倍数を意識しながら撮ることで、後々の作業が楽になりますよ、というお話です。

定点の原則を守る

4番目のコツは「定点の原則」です。これは、写真を撮る際に同じ位置から撮影することを意味します。

例えば、ドアの壁を塗っている写真を1回目にここから撮ったとします。次に、職人さんが移動したので、今度は別の位置から写真を撮ったとします。さらに3枚目は、急に思いついて足場の上から撮影したとしましょう。

後でこれらの写真を見返した時、これが同じ場所で撮影されたものかどうかが分からなくなってしまう可能性があります。「本当に同じ場所で撮ったのか?」と疑われるかもしれません。さらに、工事の進行状況が視覚的に把握しづらくなります。つまり、写真は記録としての役割が重要であり、同じ場所で撮影し続けることが大事です。

同じアングルで撮影し続けることで、成長の過程が一目瞭然になります。異なる場所から撮影すると、写真が連続性を失い、記録として機能しなくなります。背景や工事の進捗により撮影位置が変わってしまう場合もあるでしょうが、先を見越して、できるだけ同じポイントから撮影し続けることが重要です。

定点から撮影する原則を守ることで、写真の連続性が保たれ、後で見返した時にも記録としての役割を果たすことができます。

被写体以外にも注意する

5つ目のコツですが、「被写体以外に注目する」ということです。写真を撮る際、例えば鉄筋の写真を撮ろうと思ったら、綺麗な鉄筋を撮ることに集中しますよね。鉄筋が綺麗か汚いかは常に意識する部分です。しかし、問題はその被写体の外側にあります。

例えば、床がめちゃくちゃ汚れている状態で写真を撮ってしまったり、被写体の向こう側でヘルメットを脱いで汗を拭っている職人さんが写り込んでしまったりすると、その写真は記録として残ることになります。写真は記録を残すために撮るわけですが、逆に言えば、写真は記録として残ってしまうのです。

たまたまヘルメットを脱いだだけかもしれませんが、もしその瞬間を撮ってしまったら、その現場が不安全だったという証拠写真になってしまいます。また、他の部分は綺麗なのに、その一部分だけが汚れていた場合、その現場が汚かったという証拠にもなってしまいます。

ですから、写真を撮る時には一度落ち着いて、周りが大丈夫かを確認することが重要です。タブレットなどの画面上でしっかり確認をし、問題があれば片付ける、問題がなければそのまま撮る、というように判断していただければと思います。

「とりあえず撮る」を心がける

6番目のコツは「とりあえず撮っておく」ということです。理解できますか?昔はネガフィルムだったのでなかなか言えなかったのですが、今はデジタル写真なのでいくらでも写真を撮ることが可能です。ないよりはある方が良いのです。

例えば「あそこの鉄筋どうなってたっけ?」と思った時、写真がないと復元することは絶対にできませんが、写真があれば必要ない場合は消せばいいのです。これがデジタルの強みです。気になって「撮った方がいいかな?」と思うものは、とりあえず撮っておきましょう。

アングルが気になるなら、何回か写真を撮っておけばいいのです。しかし、そのタイミングは二度と来ない可能性があるので、十分注意してください。

その場で確認し、必要ならば即時修正

最後に7番目のコツです。「その場で確認しましょう」ということです。デジタル写真の強み、先ほども言いましたが、これもその一つです。写真を撮ったら必ず一度静止画が表示されますよね。その段階で写真が大丈夫かどうかを確認してください。なぜなら、今なら取り直すことができるからです。

例えば、職人さんに「ちょっとストップして、写真を撮ります」と言って、「あ、今ちょっと、もう一回こう構えてもらえますか」と頼むと、「なんだよ」と言いながらも写真を撮らせてくれるでしょう。

「はい、じゃあ写真を撮りました。ありがとうございました」と職人さんが去った後、1時間後に「ああ、取り直さなきゃだめだ。職人さん1回こっちに戻ってきて欲しいんですけど」「え、塗ってない感じで、塗ってる風に取ってもらえますか?違う色だけどどうすんのよ」などということになり、トラブルの元になってしまいます。

今なら取り直せますが、後になってからの取り直しは膨大な労力と時間がかかり、結果として非効率です。その場で取り直しをしておけば、その時は5分で済んだのに、段取りを組み直してもう一度撮るとなると、非常に大変な作業になってしまいます。

したがって、取り直しはその場でできるように、必ずその場で確認しましょう。これが鉄則です。

工事写真のコツまとめ:現場の記録を確実に残すために

今回は、工事写真を効果的に撮るための7つのコツをお話ししました。これらは私自身の経験と失敗を踏まえたものですので、皆さんにとってもきっと役立つはずです。改めて振り返ってみましょう。

  1. 写真にはメッセージを載せましょう
  2. 撮影の計画を立てましょう
  3. 3枚ワンセットの原則を守りましょう
  4. 定点の原則を守りましょう
  5. 被写体以外に注意しましょう
  6. とりあえず撮っておきましょう
  7. その場で確認しましょう

これらのポイントを意識することで、写真の取り直しや使えない写真の量産を防ぎ、効率的に質の高い写真を撮ることができます。効率的な仕事には段取りが重要です。段取り8部という言葉があるように、計画と準備が成功の鍵です。

もう一つ重要なアドバイスとして、工事写真にはオリジナル性は不要です。斬新な写真や美しい写真を求める必要はありません。工事写真には工事写真なりのルールがあります。それに従って撮れば、基本的に良い写真が撮れます。先輩の写真を参考にし、どのように撮影しているのか、どのような枚数で撮っているのかを学びましょう。

現場監督は1つの現場で数千枚、数万枚の写真を撮ります。これはその辺のカメラマンよりも多い量です。たまには美しい写真も意識して撮ることで、カメラ撮影のスキルも向上しますし、お客様に喜んでもらえる写真にもなります。

少し長くなってしまいましたが、今回の「工事写真のコツ7選」を参考にして、先輩に褒められる、そして使える写真を量産できるようになりましょう。皆さんのカメラ撮影能力の向上を願っています。

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