建設業とDXが噛み合わない理由

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2024年4月から始まった残業規制により、多くの企業が業務改革に取り組んでいますが、建設業界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の進行が遅れていることが見受けられます。

建設業とDXが上手く噛み合わない主な理由として、既存の業務を単に楽にしようとする考え方が根強く、これが業務改革の大きな障害になっています。

この記事を書いた人

腕組みをする運営者

株式会社 RaisePLAN 代表取締役

武田 祐樹(たけだ ひろき)

【これまでの活動】

  • 総合建設業に17年在職後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
  • 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
  • YouTube音声配信Instagramメールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
  • 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
目次

表面的な効率化を進めるだけではダメ

建設業界では、既存の業務を単純に効率化しようとする考えが一般的です。

たとえば、道路使用許可の申請プロセスの簡略化に関する一般的なアプローチは、書類作成を自動化することで手間を減らすことに集中しています。これにより、書類の処理は速くなるかもしれませんが、根本的な業務プロセス自体は変わりません。真のDXとは、業務の本質を見直し、必要な場合には根底から改革することです。例えば、道路使用許可が本当に必要か、またはそのプロセスを全体的に見直すことで、さらなる効率化が図れるかもしれません。

また、デジタル技術の導入により、日々の業務記録をデジタル化することで情報の抽出や共有が容易になりますが、これも表面的な改善に過ぎません。本来なら、現場の作業をリアルタイムでデジタル化し、そのデータを基に自動的に業務記録を生成するシステムを考えるべきです。こうしたシステムが実現すれば、手書きの日誌やフォームは不要になり、さらなる時間削減が可能です。

さらに、墨出し作業においても、現在は職人が手作業で行っている部分を、AR(拡張現実)技術を用いて可視化することで、より正確で迅速な作業が可能になります。これにより、従来の手法に囚われずに、作業の効率化だけでなく、品質の向上も図れるでしょう。

建設業界のDXが進まない大きな原因

建設業界のDXが進まない一因として、業界全体が持つ「変えてはいけない」という慣習や常識が障害となっていることが考えられます。新しい技術やアイデアが導入されても、古い体制や考え方に阻まれることが多く、これがイノベーションの足を引っ張っています。

しかし、こうした状況を打破するためには、業界内外からのプレッシャーが必要です。他業界からの知見を取り入れ、既存の枠組みにとらわれない新しい働き方を模索することが重要です。また、常に「なぜこの業務が必要なのか?」と自問自答し、本質的に必要な作業のみに焦点を当てることが求められます。

まとめ

建設業界でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の進み具合が遅いことは、業界の将来にとって大きな問題です。今のまま古いやり方に固執していると、作業の効率化や労働環境の改善が進まないため、大胆な変革が必要です。業界の外から新しい技術やアイデアを取り入れ、毎日の業務に「この作業は本当に必要か?」と自問自答することが、根本的な改善につながります。

これから建設業界がDXを進めるためには、ただ作業を少し楽にするだけでなく、業務プロセスそのものを見直すことが重要です。これには、他の業界からの新しい技術やアイデアを積極的に取り入れることが不可欠です。そして、業界全体が変化に対してオープンである必要があり、新しい方法を試し続けることが必要です。このようにして、建設業界の生産性を向上させ、働きやすい環境を実現するための努力が求められています。

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