段取り力は「片付け」に現れる｜できる現場監督の共通点

建設業界には、経験の中で育まれた独自の価値観や言い回しが多く存在します。その中のひとつに、「できる現場監督の机は綺麗だ」という言葉があります。

一見すると、ただの整理整頓の話に聞こえるかもしれません。しかしこの言葉の背景には、「段取り力」「準備力」「思考の明晰さ」といった、現場監督としての本質的なスキルが凝縮されています。

なぜ机が綺麗な人は仕事ができるのか？
なぜ片付けが段取りに直結するのか？

本記事では、17年間の現場経験を持つ筆者が、片付けと段取りの関係性をひも解きながら、できる現場監督に共通する思考と行動について解説します。

片付けは「終わり」ではなく「次の仕事の準備」

まず考えてほしいのは、片付けとは単に見た目を整える行為ではないということです。 たとえば、子どもに「部屋を片付けなさい」と言うのは、見栄えを良くするためだけではなく、次に遊ぶときにすぐおもちゃを取り出せる状態を作るためです。

これは現場でも同じです。作業を終えた後に片付けをしないと、次に作業する人が準備から始めなければならず、全体の効率が下がります。片付けとは、次の仕事のための“準備”なのです。

現場監督の「段取り力」は片付けに表れる

現場監督に求められる最も重要なスキルのひとつが段取り力です。段取りとは、工程を止めることなく、関係者全員がスムーズに作業を進められるよう「先回りして準備すること」。

この段取りの中には、当然ながら片付けや整理整頓も含まれます。

• 道具が所定の位置に戻されている
• 図面や資料がすぐに取り出せる
• デスクや書類が常に整っている

これらはすべて、「次の作業のための準備が整っている状態」を示すものです。 つまり、片付けができている人＝段取りができている人という構図が成立します。

なぜ「できる現場監督の机は綺麗」なのか？

「できる現場監督の机は綺麗」その理由は実にシンプルです。
仕事ができる＝段取りができる＝片付けも自然にできている。
だからこそ、机が整っているのです。

一方で、机の上が常に散らかっている人には、次のような課題が見られます。

• 急な資料対応に時間がかかる
• 業務の引き継ぎがスムーズにいかない
• 優先順位の判断があいまいで、段取りが後手に回る

つまり、「机の状態」はその人の仕事の段取り力や思考の整理状況を映し出す鏡とも言えます。

このことは、現場にも同じように当てはまります。

• 材料の置き場が明確で、すぐに取り出せる
• 道具が作業後にきちんと定位置に戻されている
• 工程終了後には、次の作業者がすぐに取りかかれる状態になっている

これらはすべて、“片付け”を段取りの一部と認識している現場監督だからこそ実現できること。そして、それを習慣として当たり前に実行できる人こそ、現場で「できる人」として信頼されていくのです。

まとめ｜段取り＝準備。机の綺麗さは、能力の現れ

「できる現場監督の机は綺麗」という言葉は、見た目の清潔さを評価しているのではありません。

それは、“段取り”が日常的にできているかどうか。そして、次の作業者への準備を意識できているかどうか、端的に表した一つの象徴です。

• 片付けは、次の作業の準備である
• 整理整頓された机や現場は、段取りが回っている証拠
• 準備を整えられる人は、周囲から信頼され、結果も出せる

現場監督という仕事は、常に「次の人が動きやすい状態を作る」役割です。その意識を持ち、片付けや段取りを習慣にできる人が、現場を動かし、人を動かし、信頼される人へと成長していきます。

あなたの机や現場も、「次の仕事の準備」はできていますか？
小さな整理整頓の積み重ねが、あなたを“できる現場監督”へと導いてくれるはずです。