2024年に施行される残業規制を前に、建設業界では働き方改革の必要性が高まり、現場でもその実現に向けた試行錯誤が続いています。この記事では、働き方改革がうまくいかない理由を深掘りし、現場の効率化とデジタル化に成功するための手順を具体的に解説します。
この記事を読むことで、働き方改革の失敗パターンが理解でき、無理なく進めるためのポイントが見えてきます。さらに、アナログから始める効率化の重要性と、デジタルツール導入で生じがちな問題点にも触れるので、読者の皆さんは「本当に効果のある」改革を進める方法を学ぶことができます。
この内容を実践することで、改革に必要なステップが明確になり、最初の手順をきちんと踏むことで、業務の効率化や社員の負担軽減が実感できるようになるでしょう。
この記事を書いた人
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagram・メールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
働き方改革が失敗する理由
まず、なぜ働き方改革に対する取り組みが失敗するのかという理由をお話しします。
なぜ働き方改革は失敗するのか
まず、働き方改革が失敗するのは、業務を増やす方向で進んでいることに気づいていないからです。
たとえば設計事務所ではBIMの導入を進めたり、建設会社では全社員にタブレットを支給したり、勤怠管理ツールを導入して実情を把握しようとしています。しかし、これらの取り組みは新たな業務の負担を増やすことにつながりやすく、社員の負担が増え、労力がかかる一方で、結局業務がスムーズに進まない状況に陥ってしまいます。
これらの共通点は「何かを追加することで解決しようとしている」という点です。会社側の意図としては効率を上げたいという思いがあるかもしれませんが、現場はすでに多忙で、追加の作業はパンク寸前の状態に拍車をかけてしまいます。働き方改革の第一歩として「便利ツールの導入」から始めるのではなく、まず業務を減らし、実際に「楽になった」という実感が得られるようにする必要があります。
たとえば、タブレットを導入する場合、単に導入するだけではなく、アカウント管理や使い方の説明、アプリのダウンロードと設定、トラブル対応などが発生し、こうした管理にかえって手間が増えてしまうこともあります。
業務効率化には2種類の方向がある
業務効率化の方向性には「品質を上げる方法」と「業務効率を上げる方法」の2種類があります。品質向上は大切ですが、まずは「労力を減らす」ことが優先です。仕事量が増えれば増えるほど負担とストレスも増大し、業務の質も落ちてしまう可能性があるためです。たとえば、建設業界でのBIMやタブレット、勤怠管理ツールの導入は、確かに業務の品質を高めるのには役立ちますが、これらの操作や活用を習得するまでに時間と労力がかかります。そのため、一時的に仕事量が増え、慣れるまでの間はかえって負担が増えることにもなりかねません。
働き方改革の第一段階では、業務効率を上げることを優先し、仕事量を減らして余裕を生み出すことが重要です。そのため、導入するツールは本当に必要な業務に絞り、ピンポイントで選ぶことが肝要です。
まずはアナログから着手すること
働き方改革を進める上で、ペーパーレス化やAI活用など、先進的なツールに惹かれることもあるかもしれませんが、まずは自分たちの業務内容をよく理解し、アナログから見直すことが不可欠です。多くのデジタルツールは特定の目的を達成するためのものであり、それが自分たちにとって本当に必要かどうか、まず考えてみる必要があります。まずは紙に書き出して「業務の棚卸し」を行い、現場の業務に無駄な部分がないかを把握することが最も簡単で効果的な時間削減方法です。
働き方改革を掲げるなら、デジタル化に頼る前にアナログな方法で一度棚卸しを行い、現状の業務の見直しをすることが最も効率的なスタートです。これを怠ってしまうと、結局追加したツールや仕組みに振り回され、逆に業務負荷が増えるという悪循環に陥りかねません。
業務の棚卸しの手順書
続いて、業務の棚卸しをするための手順を説明します。
棚卸しの具体的な手順
まずは、全体から詳細に考えることが大切です。例えば、建設業界の場合、受注から完成引き渡しまでのプロセスを大まかに分類します。そして、その中での業務プロセスを細かく分けて、具体的な業務を列挙していきます。この作業は、自分が担当する業務に応じて、業種に関わらず適用できます。
また、業務の性質によって1日の流れやルーティンが異なるため、業務プロセスを4~8程度に適度に分割することが望ましいです。
さらに、現場業務の棚卸しを行う場合には、自社の工事案件の中で平均的な現場規模を想定して、具体的な業務を列挙していきます。小さな業務でも可能な限り列記していき、例えば1日5分の仕事でも、1年で24時間になるため、積み重ねると大きな削減につながることもあります。
最後に、急いでやることが最短ルートではなく、細かく列記していくことが最短ルートであることを忘れずに、業務の棚卸しを進めていきましょう。
①1日、1週間、1工期をイメージして業務を列記
例:朝礼、現場巡視、工事日報、職長会議、などを細かく列記。
毎日行うルーティン的な業務だけじゃなく、施工図チェックや災害防止協議会、工事写真などの時々発生するものや、工期で1回の作業も洗い出します。また移動時間も業務として記載するのがポイント。家から現場だけじゃなく、現場事務所から現場まで、現場から会社までという移動全てです。
とにかくやっていることは、余さずに全部書くことです。当然、立場によっても変わってくるはずです。しんどくても、すべてひねり出してください。(図-1)
②それぞれの所要時間に、参加人数と日数を掛けて実時間を記載
例:朝礼20分×工期260日×参加人数4人=347時間
日常の平均時間をイメージして書きます。複数人の参加は見逃さずに掛け算をしていきます。これでどのくらいの時間がその業務にかかっているのかを見える化することができます。エクセルで列記しておきデータにしておくことで、のちに割合(%)を計算したりできるため便利です。
おそらくここまで進んだだけでも、見えてくるものがあると思います。ただここで結論を出すのではなく、その考えや気持ちを、どんどんとメモをして次に進むことをお勧めします。きっと後から考察を行う際に役立つことでしょう。(図-2)
本質的業務にマーキング
例:施工図の場合、チェックするのは本質的業務だが、描くのは本質的業務ではない
絶対に自社の施工管理じゃなければできない、本質的な業務についての項目にマーキングをしていきます。例えば安全日誌を書くのは本質的業務といえますが、KY活動などの記入チェックなどは誰がやっても同じです。また、見積時の全体工程表は誰でも書けますが、工事運営中の月間工程表は本質的業務といえます。
今まで自社がどうしてきたかを考えるというより、世の中に外注先があるかどうかで考えるのがわかりやすいと思います。もしも外注先が存在するなら、そこに頼んでも業務が回るということ。つまり本質的業務ではないといえることになります。
事務作業なら、社外の臨時事務員を雇用したとして、難易度は関係なしに任せても大丈夫な業務なら、それは本質ではないと考えます。これはさすがに自分しかできないというような、例えば予算のような業務は本質作業といえるでしょう。(図-3)
最初に分けた7つの分類それぞれについて、この順番を繰り返し丁寧に行っていきます。きっと時間がかかりますし、大変なことでしょう。しかし、大切な作業です。これはどうやっても自動化できません。この地味な作業がこれから先何十年もの業務を削減する糸口になります。
つまりあなたの1日が、将来の数十年もの時間を生み出している可能性があるわけで、とても価値ある時間だと理解しましょう。そう考えれば、やる気が出てきませんか?ここが正念場。これが終われば、光が必ず見えてきます。気を抜かずに淡々と進めましょう。
本質以外を3つに仕分けろ
ここまで、業務の詳細が明らかになり、時間の使い方も見えてきました。また、業務の中には本質的ではないものもあることがわかりました。そこで、棚卸しの最大の目的は「やめること」を探すことだと再確認します。つまり、やらなくてもいい、外注可能、または誰かに手伝ってもらうことが可能な業務を仕分けることが必要です。
最初に、【必要なし】に分類される業務は、即削除しましょう。例えば、ルールだから、今までそうだったからという理由で行っている業務は、時代が変わった今、必要がない場合があります。ただし、場合によっては残す必要があることもあります。例えば、民間工事では不要だが、公共工事では必要な業務がある場合は、明確な決めごとを作ることが大切です。
仕分け作業中に「上司ハードル」がのしかかることがあるかもしれません。「今までやっていなかったのに、なぜ今さら」という問題が出てきた場合は、やらなくても回る業務であることを共通認識としてすり合わせましょう。
また、時間のかかる業務から順番に取り組むことが効果的です。時間のかかる業務を見つけて削減することができれば、改革に取り組む人々の士気も上がります。さらに、社員に発表して協力者を増やすことも効果的です。
外注化を本気で模索せよ
削除対象が見つかり、作業が一通り進んだら、次に【外注可能】な項目に焦点を当てていきましょう。【減少可能】に仕分けされたものについては、効率化策が見つかったり、状況に応じて減らしていく方が効率的なので、最初は保留しておいても構いません。
とはいえ、外注先の選定には時間がかかります。外注先が本当に存在するかどうかが分からないことも多く、情報が不足している場合もあります。この段階では「外注先がありそうなもの」を候補に挙げ、外注の可能性を探っていくとよいでしょう。
参考として、私が実際に外注先として活用している例を挙げます。
- 施工図の作成
- 積算作業
- 写真の整理
- 竣工書類の作成
- 工事写真の撮影・整理
- 事務作業の代行
- 現場監督業の派遣
- 墨出しや測量作業
外注化の可能性がある分野は、専門性が高く「面倒だ」と感じることが多い領域に特に多いです。ただし、地元に外注先が見つからない場合は、業務委託が可能な会社を探したり、新たに外注先を育てる方法も視野に入れて検討すると良いでしょう。
実際に、私は超音波探傷試験業者に「鉄筋確認の際に写真も撮ってほしい」と提案し、外注として導入しました。外注先にとっても利益があるならば、こうした提案は柔軟に行うと良いでしょう。
重要な考え方は、施工管理側の負担を減らすことです。外注することで、自分で行わなくても良い業務が増えるため、業務の「除外」と同じ効果があります。ただし、外注するには準備やチェックも必要になるため、厳密に言うと業務がゼロになるわけではなく、3分の1程度に軽減されると考えておくと良いでしょう。
外注先の調査は時間がかかるため、まずはターゲットと目安を決め、定期的にリサーチしながら情報を共有することが大切です。情報収集が重要なので、多少の時間は覚悟しましょう。
外注化は、自分の業務範囲の外にお金を投じることです。考えようによっては、パソコンにソフトを導入することも「外注化」といえるかもしれません。つまり、ソフトに業務を委託しているわけです。このように外注の視野を広げ、手早く仕事を自分の範疇から外に出すことが、働き方改革の近道となるでしょう。
本質業務を2つに仕分けろ
本質的な施工管理業務について考えていきます。
例えば、施主との打合せや工程表、施工図チェック業務などが当てはまります。これらは簡単に外注化できず、なくすこともできません。しかし、働き方改革のターゲットになります。そのため、単純で反復的な業務と複雑な業務の2つに分けることが必要です。単純な作業と複雑な仕事に分類し、複雑な仕事を改革すべきだと考えます。
単純な作業は効率化できない場合もあり、外注することもできず、なくすこともできません。そこで、デジタル化が出番を迎えます。これまでの働き方改革で、社員は楽になったと感じるはずですが、慣れてしまうと元に戻すことは難しいため、次なる施策を打つ必要があります。
いよいよデジタル化を導入
ここまで働き方改革の進め方について説明してきましたが、ここからはいよいよデジタル化に入ります。
デジタル化は簡単に始めるのではなく、明確な目的と対象を決めて進めることが大切です。デジタルツールの導入にはコストがかかり、自社でアプリやソフトを開発することも難しいため、既存のツールから適切なものを選ぶ必要があります。
ただし、どのツールも全員に向いているわけではありません。目的を明確にし、自社の業務に合ったものを選ばないと、無駄なコストが発生するので注意が必要です。
現在、使いやすくわかりやすいツールも増えてきていますが、焦って導入すると失敗する可能性もあります。慎重に選び、目的に合ったツールで改革を進めていきましょう。
それでは、皆さんの業務に合わせたデジタル化のプランを立てていきましょう。
最初のターゲットは「移動時間」
まず、紙とデジタルの違いについて整理しておきましょう。紙は物質であり、誰かに届けたいと思った時には人間の手が必要で、汚れたり破れたりすることもある上に、量が多ければ重さもかかります。一方で、デジタルは情報であり、瞬時に劣化せずに送信することができ、大量のデータでも重さがかからず、大量の人々にも簡単に配布できます。
この2つの特性を考慮すると、デジタル化と最も相性が良い要素は何かが明らかになります。それは、「移動時間の短縮」です。すなわち、デジタル化を進める上で最初に取り組むべきは、移動時間の削減です。
皆さんが思い浮かべる移動時間には、自宅から現場までの移動、現場事務所から現場までの移動、現場と会社の間の移動などが含まれます。また、資料の移動も移動時間の一例です。これらの多くの移動時間や労力を最も効果的に削減するのがデジタル化です。例えば、通勤に1時間かかる場合、それがゼロになれば、1現場の工期で200時間以上の時間を節約できます。これが、いわゆるリモートの破壊力であり、デジタル化の恩恵です。
したがって、デジタル化を進める上で意識すべきことは、移動時間をどうやって削減するかです。その上で、皆さんが考えたターゲットと重ね合わせると、デジタル化の方向性が見えてくるでしょう。
例えば、ターゲットが「施工図をチェックする業務」の場合、その業務は現場でなくてもできるため、「リモート化」が浮かび上がります。また、チェックし終わった図面を届ける際には、ファイルをクラウド上で共有することができるため、「クラウドによるデータ共有」も移動時間削減案となります。
このように、ターゲットと移動時間を組み合わせることで、デジタル化の糸口が見えてくるのです。
流行りのツールより実績のあるツールを
次にツールを探す時の注意点をお話していきましょう。
デジタルツールを選ぶときに気を付けることは何でしょうか?
新しいツールをすぐに使うのはおすすめできないので、古くから使われているツールを選ぶべきです。古参のツールは多くの人に利用されているため、信頼性が高く、ネット上に情報が多く存在します。また、古いツールは単純で扱いやすい場合が多いため、中級者以上向けの複雑なツールよりも使いやすい場合があります。
流行りのツールはトラブルが起きた場合、情報が少なく、サポートが受けにくい場合があるため、古参のツールを使うことがおすすめです。
とにもかくにもペーパーレス化
これまでデジタル化についてさまざまに解説してきましたが、実はデジタル化の根本的な課題について触れていませんでした。今回は、デジタル化を進める上で必ず立ちはだかる「壁」についてお話しします。どんなデジタルツールを導入しても、この壁をクリアしなければ本当の効果は得られないのです。
建設業界では、デジタル化がなかなか進まない状況にあります。「建設業はデジタル化に向かない」とさえ言われることもありますが、その一番大きな壁が「ペーパーレス化」です。これをただの紙削減だと思う人もいるかもしれませんが、実はペーパーレス化は非常に重要なデジタル化の入り口です。
例えば、KY日報や入場者記録、見積書、請求書など、増え続ける紙の書類をデータ化すると、印刷や整理、保管が不要になり、手間も省けます。このように、ペーパーレス化を単に紙をなくすことだと捉える人が多いため、「紙代なんて微々たるものだから意味がない」と思い込む人が少なくありません。しかし、ペーパーレス化の本質は「データ化すること」にあります。
データ化とは、紙の情報をデジタル化して、いつでもどこでも利用できる状態にすることです。一度データ化されれば、情報は社内外で広く活用でき、分析も可能です。逆に、紙のままだと活用範囲が限られてしまいます。
たとえば、今後5GやAI、ロボット技術を取り入れて働き方を変えようと考える時、それらはすべて「データ」があって初めて使えるものです。資料が紙のままだと、どれだけ世界が発展しても、最新の技術は活用できず、デジタル社会から取り残されてしまいます。
つまり、今後のデジタル技術を使いこなすためには、「データ」が入り口になるのです。そしてその第一歩が「ペーパーレス化」。今さらと思わず、これを今すぐにでも実践することが求められています。
ペーパーレス化とは、単に紙を減らすことではなく、世の中の多様なデジタルツールを利用できる選択肢を手に入れることです。まだ何を始めるか迷っているなら、この取り組みから始めるのが、決して無駄にならない最初の一歩です。
【実例の紹介】朝礼の自動化
ではここまでを踏まえた上で、私が実際に行った取り組みの中から実例をご紹介します。今回ご紹介するのは「朝礼の自動化」です。
現場の業務を棚卸しし、効率化できるものを絞り込んだ結果、朝礼がターゲットとなりました。本来は朝礼を省略することが理想ですが、まずはその必要性、つまり「朝礼の核」を考えることが大切です。そして朝礼の役割は、以下の2点にあると気づきました。
- 作業内容の周知
- 安全事項や行事の共有
これらを達成する方法が朝礼以外にあるか、固定観念を捨てて考えてみた結果、「動画での朝礼」が有効と判断しました。
具体的には、前日の会議で決まった作業や注意点を台本にして動画を撮影し、翌朝、大型モニターでループ再生します。この試みは、効率と自由度が向上するだけでなく、次のメリットももたらしました。
- 朝の混雑が緩和され、各社が自由なタイミングで視聴できる
- 動画の再撮影で内容の漏れが減り、大規模な現場でも対応可能
デメリットとしては、慣れない撮影に最初は戸惑いがあったり、動画を見ない人や顔ぶれの確認が難しいことなどがありました。しかし、従来の朝礼でも一長一短があったはずです。新しい方法を導入し、メリット・デメリットを検証して改善することが重要です。
この取り組みで195時間、40万円の削減効果が出ました。職人さんからも「急がずに済んで楽」「解説が分かりやすい」など、好意的な声をもらい、施工管理側も「緊張が少なくて良い」とのことでした。朝の自由な時間も増え、心の余裕が生まれました。
動画を見ない人への対策や顔ぶれの確認方法など、まだ改善の余地はありますが、行動を重ねて改善し、最終的な形に仕上げることが大切です。最初から「無理だ」と決めつけず、挑戦していきましょう。
社員のついてくる改革を
とにかく余白を作りだすことから
働き方改革のスタートは、まず業務量を減らすことから始めることが大切です。これを急いで行わずに、先導する人と社員の考えが一致した改革を進めることが必要です。
例えば、大きな改革を宣言して期待を高めた挙句、業務量が増えてしまうと、人々は不満に思います。改革を進めるためには、まずは小さな成功を積み重ね、信用を勝ち得ることが大切です。
また、改革を進めるためには、革新的なアピールが必要で、変革を求める人物が必要です。しかし、人々は新しいことに対して抵抗があり、自分たちの現状を維持したいと思っているため、敵を作りながらでも、ビジョンを伝え、改革を進めていく必要があります。
最初の改革は、余白を作り、空気を抜く作業から始めることが大切です。
やる気を徐々に波及させ改革を進める
徐々に仕事を減らして、デジタル改革に移行する段階的な方法が最適です。
新しいことをやり始める前に、実際に仕事量が減っているか確認し、徐々に減らしていくことで実感を加速させ、失敗した場合にはリカバリー期間を設けることができます。
しかし、時間を置きすぎると、業務が少ない状態が普通になってしまうので、注意が必要です。じっくり様子を見ながら、社員に意気込みを広めて、攻め時が来たと感じたら、一気に進めることが重要です。
変化を楽しむ
建設業界では、デジタル化に遅れがちだと言われていますが、変革を受け入れようとする人もいる一方で、多くの社員は不満を感じています。しかし、時代の流れは変わらず、方針転換が必要です。
私たちは、自分の気持ちの切り替え方で、変革を楽しむことができます。過去の経験から、新たなことに挑戦することで成長することができることがあります。
デジタル化は必然的に進んでいくため、早めに受け入れて、楽しみながらチャレンジすることが大切です。何かを変えることは、誰にでも冒険ですが、そこには新しい経験や知識が待っているかもしれません。
建設業界は、今まさに新しいステージに進む時期にあります。自信を持って、新たな一歩を踏み出しましょう。
最後に
今回は、建設業界の働き方改革の始め方の手順をお話しさせてもらいました。
- 働き方改革に対する向き合い方
- 働き方改革の進め方の手順
- 働き方改革取り組みの事例
- 働き方改革に社員を巻き込むための考え方
私の経験を交えつつ、上記の順序での解説になりました。ここにあるものは、働き方改革に対する取り組みのほんの一例に過ぎませんが、参考にしていただけると幸いです。
そして、最後にお伝えしたいことがあります。
若者の提案に耳を傾け、チャレンジする心を持ってほしいと思います。新しいアイデアや発想が、建設業界をさらに進化させることができる可能性があるからです。
例えば、私が以前勤めていた会社では、現場監督の仕事をリモート化することで多くの効果を生み出すことができました。現場スタッフは専念することができ、主任クラスもデスクワークに専念できるようになり、技術力を他の現場にも活かすことができました。また、派遣社員を採用することで人手不足や技術力不足を補うこともできました。
もし若い人から突飛な提案があっても、馬鹿にせずに聴いてあげてほしいです。失敗しても何度でもチャレンジする機会を与え、成功するまでサポートしてあげてほしいです。建設業界は長い歴史で築き上げたものであり、薄っぺらなものではありません。不屈の精神を育み、新しい化学反応を生み出していくことが、これからの建設業界を作り出すのだと信じています。
働き方改革に対する取り組みの相談がしたい、悩みを聞いてほしいというご要望がありましたら、現場ラボにご相談ください。
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