「社員が全く育たない」、「早く一人前になってほしいのに」と不満に感じていませんか?
本記事では、社員が育たないと悩んでいる中堅・ベテランの方の悩みについてお答えしていきます。
1つお聞きしますが、あなたの会社は社員をどのように育てるかという明確な『教育方針』はありますか?
もしないのであれば、冒頭の問題は会社側に原因がある可能性があります。
建設業は、様々な建設現場を移動する職種で教育が不十分になってしまいがちですが、いち早く戦力のある社員に育てるためには、やはり計画的な新人教育が必要です。
今回は、社員教育を成功に導くためには『教育方針が必要である』というお話になります。
社会教育の課題の突破口になるであろう大事な内容を、建設業の教育の現状を踏まえながらお話します。
ぜひ、最後までご覧ください。
社員教育を成功に導くカギは『教育方針』にあり

建設業の教育の現状と課題
建設業は現場で仕事をする業種がほとんどです。入社して研修が終わると、教育を現場に任せるということがよくあります。
建設現場は忙しく過酷です。
激務な現場で教育をする時間を取ることは難しく、手伝ってもらうというのが精いっぱいという話も聞きます。「教えるというより使う」という状況で得られるものは少ないでしょう。
ひとつの現場で覚えることが10あるとしたら、手伝うという方法で得られるものは多くて1といったところでしょうか。
また、様々な現場に出向くため教え方に統一性がなかったり、どの現場で何を取得するといった明確なものがないため一向に新しいことが学べなかったりという状態です。
現場が変わるごとに「こんなことも分からないのか」とがっかりされたり、「これは分かる?」といちいち確認しなければならなかったり、教える側も教えられる側もいい気分ではありませんよね。
建設業の教育では、これらの課題を解決し、様々な現場に出向きながらも、確実に成長していけるような方法を確立させる必要があります。
教育方針の重要性
教育方針とは、人をどのように成長させるかの方向性を指します。
教育方針が確立しているということは、会社として、組織としてベクトルが全員同じ方向を向いていることです。
逆に、教育方針が定まっていないということは、会社としてどのような人に育てたいかが決まっていない、つまり組織内の人の考え方や目指す場所がばらばらということです。
どのような人に成長させたいかが曖昧なので、上司によって教え方や掛ける言葉が違ったり、教える順番が違ったり、上司個人の考えを押し付けてしまうことになります。
教育方法が上司によって違うので、同じ経験年数の人でも知っていることと知らないことが違うことになります。
このようなムラのある教育をしていては、社員が成長できないのは理解できますよね。しかし、社員が成長できないことは、業務に支障がでるだけではありません。
新入社員は、新たな社会人生活に夢をもっている人が多いでしょう。そんな中、自分が成長できているという実感がもてない状況が続くと「早く仕事を覚えたい。」、「頑張って一人前になりたい。」という前向きな気持ちを折ってしまうことになり兼ねません。
部下を成長させたいと思っていることが空回りして、離職率をあげてしまっては勿体ないです。
まずは、教える側と教えられる側が同じ方向を向いて歩んでいくためにも教育方針が必要です。
組織として教育方針を決定することは、教える側にも教えらる側にも大きなメリットがあります。
簡単にできる!社員教育を成功に導く『教育方針』の定め方
教育方針を決め、会社全体で共有することで、この人がどのくらいまで理解しているか、次は何を習得しなければいけないのかが分かるようになります。
では、どのように教育方針を定めるとよいのか、ポイントごとに見ていきましょう。

見える化できるゴールを設定しよう
ゴール地点が分からなければ、走ることも、走らせることもできません。
とにかく、ゴール地点は分かりやすくなくてはいけません。
建設業界では、施工図、工程表、段取りなど身につけなければならない項目が膨大にありますが、「ここまで教えれば、あとは経験を積むだけ」という着地地点(目標)を明確に設定しましょう。
「施工図に関わることをできるだけ多く覚える」というような、曖昧なゴール設定をしてしまうと、ゴールまでの距離感や何から取り組めばよいのか混乱してしまいます。
計画的に、確実に成長するためにも、着地地点は「施工図を書くことができる」なのか、「施工図を読むことができる」なのか、見える化できるゴール設定は大事なことです。
余裕のあるスケジューリングをしよう
明確なゴール地点が決まれば、そこまでにかかる時間を逆算して算出しましょう。
習得までにどれくらいの時間がかかりそうなのか、どれくらいの時間で習得してもらうことが会社として望ましいのか、学ぶ側と教える側の両面から検討するとよいでしょう。
難易度が高すぎる目標は、学ぼうとしている社員の心を折ってしまいかねません。
頑張れば達成できる可能性があるレベルでスケジューリングすることが大切です。
また、新しく学んだことがその場限りの知識で終わってしまわないように、教育内容を定着させるための定期的なフォローアップを忘れないようにしましょう。
確実にゴールに近づけるプロセスを検討しよう
設定をした目標に到達するためには、そのために学ばなければいけないことがあるはずです。
例えば、水泳経験のない人が「25メートル泳げるようになる」という目標を掲げたとしましょう。さて、この目標を達成するにはどうしたらよいでしょうか。
あなたがコーチだとしたら、何から始めますか?いきなり泳がせるという選択をする人はいないでしょう。
まずは「顔を水に一瞬つけることができる」という小さな目標を立てて達成させる。その後、「顔を水に10秒つけることができる」→「ビート板を使って伏し浮きができる」→…など段階的に小さな目標をクリアしながら最終目標に向かっていくのではないでしょうか?
このように、プロセスを明確に提示することで、教える側も闇雲に教えるのではなく、段階的に教育することができます。プロセスごとに絶対に押さえておきたいキーポイントを挙げたり、教育方法を統一したりするとより良いでしょう。
建設業では多くの工程があるので膨大な量になりますが、それぞれのプロセスを書き出すことで、工程ごとの関連性も見えてくるでしょう。
まとめ

社員教育を成功に導くためには、教育方針が要です。
簡単にできる教育方針の定め方についてもお話したので、教育方針がないという会社は危機感をもって改善しましょう。
明確な教育方針を定め、組織全体で共有することは、教育に携わっている上司や、教えられる側はもちろん、その他の組織内の仲間にとっても働きやすい環境をつくります。
そして、これらは会社の統一性や業績向上に繋がります。
ぜひこれを機に、メリットづくしの教育方針について考えてみてはいかがでしょうか。