【AIが担う未来】建設業の未来のために、僕らが今すべきことを考えてみた

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僕は、5年ほど前に「建設業をもっとワクワクするような業界にしたい!」と意気込んで、起業しました。現場ラボというプロジェクトを立て、そのつもりで進んできました。ですが、少し前まで、実は心の中でモヤモヤとした感情が渦巻いていました。これから先の自分の方向に迷いを感じていたからです。

ですが、その迷いもようやく晴れてきました。その方向性が自分の中で定まりつつあるからです。今回は、少しだけその想いをお伝えできればと思います。

この記事を書いた人

腕組みをする運営者

株式会社 RaisePLAN 代表取締役

武田 祐樹(たけだ ひろき)

【これまでの活動】

  • 総合建設業に17年在職後、独立起業。
  • 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
  • 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
  • YouTube音声配信Instagramメールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
  • 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
目次

AI技術の進化が建設業に与える影響とは?

ChatGPTなどに代表される生成AIの登場により、僕もそのツールを優秀な助手として一緒に働くことが多くなり、仕事効率が飛躍的に上がりました。そんな中、AIの進化を目の当たりにするたび、その圧倒的な能力に圧倒され、私の考えをはるかに超えていることに気づかされます。

触れれば触れるほどにその凄まじさを実感し、私たちが持っている知識や考えのそのすべては、AIによって代替できるのではないかと思えるほどです。

建設業界における「頭脳」と「肉体」

建設業界を俯瞰してみると、その仕事は大きく「頭脳」と「肉体」に分かれています。職人が肉体労働を担う一方で、設計や施工管理は頭脳労働です。そして、AIが最も得意とするのが、「頭脳」の部分です。

であれば、設計や施工管理も、そのすべての業務をAIによって代替できるのではないかと、ふと考えることが多くなってきました。よく、「技術は経験から得られるもの、AIでは変わり得ない部分がある」と言われますし、私もそれに納得していた部分があります。しかし、AIに触れれば触れるほど、本当にそうなのかと疑問を感じずにはいられなくなってきました。

AIが代替する可能性についての考察

例えば、鉄骨の建て方の段取りを進める場面を想像してみてください。工程を決定していくためのプロセスは、ピースの数を数え、またその複雑さ、本体鉄骨と附帯鉄骨のバランス、職人の技量などを踏まえて決めていきます。つまり、多くの情報を人間が総合的に判断しているわけです。

逆に言うのであれば、この情報さえ読み取れるのであれば、計算自体はAIでも可能だと言えます。現場の状況を頭に入力し、総合的に判断して進めるのは、ある意味で人間の得意技だと思ってきました。でもよく考えると、そのプロセスとしては情報をインプットし、判断し、工程表や図面という形でアウトプットしているという作業です。

「人間だから間違えるし、人間だから修正もできる。」人間らしさをこのように表現することもあります。でも結局は情報を得て、総合的に判断しているだけに過ぎないのではないでしょうか。

人間の経験とAIの役割分担

掘削工事もサッシの取り付けも、内部足場だって、結局のところプロセスは同じです。情報を得て、総合的に判断し、アウトプットする。それを繰り返しているわけです。経験や勘と言われるものも、言ってしまえばインプットの量でしかないのです。付け加えるなら、人間には忘れるという良くない側面もあるのも事実です。経験したことが必ずしも次に生かされる状態には、なっていないということなのです。

そう考えると、施工管理はそのすべてをAIが代替できるのではないかと考え始めています。もちろん、すぐには実現しないでしょうが、いつかは必ずそうなる。いや、そうなるべきだとすら思うのです。

AI時代における職人の新たな役割

現在、アメリカでは「ブルーカラー・クール」という言葉が生まれています。これが示唆するのは、まさにこういう未来の姿なのだと思います。人手不足が進む一方で、補修や修繕といったニーズは飛躍的に増えていきます。そんな未来が見え隠れしているのであれば、AIが進化している今こそ、施工管理を効率的に減らし、職人を増やすことが急務となるでしょう。人口が減少している今、どの業界でも人手は限られており、頭脳労働の部分はどんどんとAIに代替させるべきだと強く感じています。

だから、もう一度強く言いたいのです。施工管理のすべてをAIに任せるべきです。正確に言うなら、「そのつもりで動き出すべきだ」と。今すぐに未来に向けての準備を始めるべきだと思います。

未来のために今すべきこと

建設業界がこれからの未来に対応するために、私たちにはまだ足りないものが2つあります。

  1. データの収集と活用:圧倒的にデータが不足しているのです。データ化された技術が必要であり、それによってAIを成長させるための「餌」を作ることが重要です。
  2. 新たな仕組みの構築:人間が必要だという常識を緩和し、少しづつ機械と共存しながら、少人数で効率よくこなす体制への変化が求められます。

そこからはじき出すと、僕らが今後進めていくべきことが2つあります。

技術動画データの収集と制作

動画は映像と共に音声、テキストに変換できる効率の良いデータであり、AIの学習に向いています。それを教育用に作成し、量産する必要があるのです。

教育コンテンツを作ることは、人を育てることであり、そのつもりで作り上げた体系的なデータは、そのままAIを教育するデータとなります。建設業界の知識を蓄積した「建設WIKI」のようなデータベースを作ることは必須なのです。

少人数で現場を運営する体制の普及

これはすなわち、僕が提唱しているコアエンジニアモデルの導入です。ものすごく単純に言うなら、施工管理業務を肉体と頭脳に分け、現場作業以外の「頭脳労働」をすべてバックオフィスで処理するという仕組みです。バックオフィスに分類できれば、そこを集中的にシステム化することが可能になるわけです。

これらを推進することで、施工管理の仕事は減少していくことになります。必然的に、施工管理の必要人数も限られてきます。そして、技術者がAIに代替される未来が現実のものとなるとき、結果としてスポットライトは職人に当たります。

現場で生き残る職業が「ブルーカラー」であるという風潮が生まれ、そのかっこよさを売りにする人たちが増えてくるでしょう。そして職人という仕事の「クールさ」が一層増していくことになると考えます。

まとめ

AI技術が進化する中で、建設業界の「頭脳」の部分をAIが担う未来が確実に見えてきました。AIが設計や施工管理などの業務を効率的に処理することで、私たち人間は「肉体労働」の部分をさらに洗練された形でこなすことができるようになるでしょう。限られたリソースをどう再配置し、今ある技術を最大限に活用するかを考える中で、僕はこの方向性が建設業界の未来を切り拓く鍵だと確信するようになりました。

そして、この変化は職人の仕事にも大きな影響を与えるでしょう。「ブルーカラー」の職業がこれまで以上に注目を集め、その「かっこよさ」を誇りに思う人たちが増えてくるはずです。職人の仕事が「クール」でスタイリッシュなものとして認識される時代がもうすぐそこまで来ているのです。

現場ラボとして、この未来を実現するための道を歩み始めました。ただ、これはあくまで僕の今の意思表明であり、まだ試行錯誤の途中です。今後、考えがどう進化していくかは分かりませんが、現時点ではこの道が正しいと信じています。

現場ラボは、この明確な未来を見据えて進んでいきます。これからも共に歩んでいただければ幸いです。

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