世の中が、働き方改革を進めようという流れの中、各業界でもリモート化が進んで取り入れられるようになってきました。
リモート化に興味はあっても、「難しそう」、「本当にメリットがあるの?」と、ネガティブな印象を持っている人がいるのが事実です。
そんな中、私はとある現場で、現場監督のリモート化を実施し成功させたという経験があります。
この経験により感じた、現場監督のリモート化における8つのメリットをご紹介します。
この記事を通して、現場監督のリモート化に対するネガティブな印象の払拭や、現場監督のリモート化に悩んでいる方の背中を押すことができたらと思っておりますので、ぜひ最後までお読みください。
現場監督のリモート化とは

現場監督は資格を有する貴重な人材であり、人数も限られています。
また、こなさなければならない仕事量が多いことに加えて、基本的に毎日現場に出向かなければならないため、イメージ通り大変なのも事実です。
現場に出向くには、もちろん移動時間もかかりますし、交通事故のリスクも抱えることになります。
では、ここまでして現場監督は毎日現場に出向く必要があるのでしょうか。
答えはNOです。
現場監督の業務の中には、現場に出向かなくてもできるものも多くあります。
冒頭で少しお話したとおり、わたしはこの、毎日現場に出向く必要はないということに焦点を当て、現場監督のリモート化を実施しました。
現場の効率化を狙って、現場監督は週の半分在宅、半分現場に出向く、現地にはスタッフは2.5名(所長はタッチはしていないが現場にはいたので0.5換算)がいるという働き方を試みました。
これらの試みは2100時間の削減という大きな成果をあげ、新聞に掲載していただいたり、様々な方からお声掛けいただいたりするようになりました。
また、業務時間削減の他にも、現場監督のリモート化の試みはメリットがたくさんあるなと感じたのでご紹介いたします。
現場監督をリモート化する8つのメリット

メリット① 無理なく現場のかけもちができる
施工管理は膨大な業務をこなさなければなりません。
もちろん現場に出向かないとできない業務もあり、お客さんがいる以上、信頼関係という面でもフルリモートというわけにはいきません。
しかし、施工管理の業務の中には、わざわざ現場に出向かなくてもこなせるものもたくさんあります。
その現場でなくてもできる作業をリモート化するだけでも、相当な業務時間削減が可能です。
現場に出向くということは、そこまでの移動時間が付き物です。出向く必要がないのに出向いている、この移動時間って、とても無駄だと思いませんか。
この移動時間分、他の業務ができるとしたら、現場のかけもちも前向きに考えられそうです。
資格を有する施工管理の人数は限られており、人手が足りていない現状で、現場をかけもちできる施工管理がいることはメリットといえるでしょう。
メリット② 社内で助け合いができる
現場では多くの職人さんが作業をしています。
そして、それらをまとめているのが私たち施工管理です。
施工管理の責任は重く、業務量も多いのですが、現場では孤立しがちです。
現場では誰かに頼ることもできず、ひとりで抱えがちですが、リモートできる業務があると分かればどうでしょうか。
現場にいなくてもできる業務なわけですから、社内の誰かに振ることもできるというわけです。
仕事をまわすことができることは、施工管理の働き方改革にも繋がり、大きなメリットといえるでしょう。
メリット③ 多様な働き方ができる
ここまでお話してきたように、施工管理の仕事には現場に出向かないとできないものと、現場でなくてもできることがあり、現場に出向く必要のない業務をリモート化することは、ひとりで業務を抱え込まなくてよい環境づくりに繋がります。
そして、それは社内の人間にとどまらず、外部の人間に任せることだって可能なのです。
つまり、怪我をしてしまった人や子育てしている人、他県に住んでいる人のように現場に出向くことができないような立場の人であっても、副業という形でこなすことができるのです。
このように、現場監督のリモート化は、あらゆる人をチームに取り組むことができるという大きなメリットをもちます。
メリット④ 働き方を選択することができる
多様な働き方に加えて、働き方の選択をすることができるのも、現場監督リモート化の大きなメリットです。
人間誰しも、得意不得意がある生き物です。
得意なことは進んで取り組みたいが、不得意なことは気が進まないというのは、よくあることです。
現場監督リモート化というのは業務を細分化して考えることから始まります。
細分化した上で、それらの業務を誰がどのように取り組むのかを考えます。
必ずしも、ひとりで全ての業務をやらなければいけないわけではありませんし、ひとつの現場にしか携わってはいけないという決まりもありません。
つまり得意な人が得意なことだけに取り組む、つまり良いところどりした働き方も可能です。
得意なことであれば、仕事のスピードが速かったり、ミスをしにくかったりとメリットもたくさんあります。
『得意な業務のみ、複数現場分行う』、現場監督のリモート化はこんな働き方を選択することもできるのです。
メリット⑤ 簡単に副業ができる
メリット③、④では、現場監督のリモート化は業務の多様化につながり、自分らしい働き方ができるとお話してきました。
このように分業することで、業務時間の削減が可能です。
そして、業務時間が落ち着いてきたら副業として他の現場の業務も手伝おうかな、なんて思えるかもしれません。
施工図を書くことが好きな現場監督にとって、様々な現場の施工図を書くことができるのはワクワクするはずです。
そして、それが第2の収入源になるとしたら、そんなうれしいことはありませんよね。
メリット⑥ 技術の活性化につながる
建設業界には、すごい技術をもった人がたくさんいるのですが、業界の特性上、技術が仕入れ辛くガラパゴス化してしまっています。
しかし、施工管理をリモート化し、多様な働き方を受け入れることで、技術を交換することが可能になるのです。
多様な働き方を受け入れ、普段一緒に働くことがないような人とチームになることは、学びや刺激も多いと思います。
技術を共有しあうことで業界が活性化する、これは建設業にとって大きなメリットでしょう。
メリット⑦ 業界の魅力がUP
建設業界のイメージはきつそう、大変そうと、決して良いものとはいえません。
しかし、建設業もリモート化ができる、家にいるのにものづくりができる、子育てしながらでも建設の仕事ができるとなればどうでしょうか。
魅力的と感じる人は多いはずです。
リモート化を促進することで、建設業のイメージが一新できるのです。
私も含め、業界愛のある技能者、技術者にとって、建設業界に魅力を感じてもらえることほどうれしいことはないでしょう。
メリット⑧ 人手不足を解消できる
人手不足は建設業界の大きな課題です。
施工管理のリモート化は、いろいろな場所から、いろいろな人が協力できる環境を作り出します。
施工管理の業務には、施工管理の資格がなくても行えるような事務作業もあります。
これらの仕事を外部に振ることも、施工管理の業務削減に繋がりますし、あらゆる職種にアプローチできるので、採用の口も広がります。
多くの業務をひとりで抱え込まずに、多くの人で分配し、より効率よく施工管理の仕事をこなすことは、課題である人手不足の突破口になるのではないでしょうか。
まとめ

現場監督のリモート化には、多くのメリットがあります。そして、デメリットが少ないのも特徴です。
方法も様々で、すぐに導入できる施策もあります。
難しい、リモートなんてできない、失敗が怖いと自ら壁をつくってしまうのではなく、軽い気持ちではじめてみてはいかがでしょうか。
「まずはやってみる」、そんなチャレンジ精神で得られるものは多いはずです。
さあ、一緒に建設業を変えていきましょう。