建設業界や施工管理のような職種では、激務の状態が続いております。また、2024年から規制が厳しくなることから、建設会社にとっては本気で動かなければいけない時期が来ています。
とはいえ、何から手を付けていいかわからない人もいでしょう。そこで今回は、業務を減らす方法を5種類紹介していきたいと思います。これを参考にして施策を見出せば、業務を半減することも可能です。
業務を減らすことで、自由な時間を生み出すことは重要です。仕事が好きな人もそうじゃない人も。まずは業務を減らすことによって、どちらの人も働きやすい選択ができる状況を作ることができるのです。
若者が入りやすい環境を創るためにも、また法律に違反しないためにも。これを参考にして前向きに行動してほしいと思います。
早速ですが、まずは業務の効率化についての5つの方法についてお話ししましょう。
- 直接的な業務を減らすこと。無駄な業務を見直し、効率化を図ります。
- 移動時間を減らすこと。時間のロスを減らします。
- 外注できるものを増やすこと。やらなくてもいい業務を増やします。
- 教育に要する時間を減らすこと。効率的に成長してもらいます。
- 業務の方法を変えること。今までの常識を見直して効率化を図ります。
これらが業務効率化の基本的な本的な方法となります。変革のこの時代において、業務の効率化は、今後も重要なテーマとなるため、ぜひ参考にしてできることから取り組んでいただきたいと思います。

武田祐樹(たけだひろき)
総合建設業に17年在職し、官民問わず数多くの実績を積む。
現在はオンラインを中心に活動し、中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家としても活動。YouTubeや音声配信、Instagramなどで情報発信を行い、電子書籍出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動も積極的に行う。
2023年3月には、建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演。
保有資格
- 1級建築士
- 1級建築施工管理技士
- 1級土木施工管理技士
建設現場生産性向上サポート
HT RaisePLAN 代表
➀直接的な業務を減らす

まずは直接的な業務を減らすことです。これが、最もわかりやすく、最も手っ取り早い方法になります。単純な話ですが、今やっている業務の棚卸しを行い、見直すことによって無駄な業務をなくすか、減らすかを進めていくことです。
これまでのやり方や常識に固執せず、現代に即した方法を考えます。業務には必ず、目的としている「ゴール」があるはずです。そこは変えないが、それに至るまでの「やり方」を考え成すことで削減することができるのです。
また自分の役割だけを考えるのではなく、部署間で重複している作業がある場合には、それを含めて検討していくことが必要となります。組織や、常識、風習をいったん捨てて、新たな気持ちで業務のゴールを見据えて動いてみるのです。
例えば、請求書の作成に関して、各部署で同じ作業を繰り返し入力する場面が良く見られます。そういう業務を見つけ、自動化をするなどの改善を行います。このように、業務を直接的に減らすことで、効率的な業務の実現が可能になります。
②移動時間を減らす

次に移動時間を減らすことです。移動時間と一口に言っても、いろんな場面が想定されます。家から会社まで。会社から現場まで。現場事務所から現場まで。そして現場の中での移動もあります。
たとえば、現場事務所から現場まで、往復で6分かかるとしましょう。1日に5回ほど往復する場合は、移動時間だけで30分も使用していることになります。また、背の高い建物の工事を行う場合は、上下の移動でもそれ以上の時間がかかります。
また、現場から会社へ会議の為に向かう時間も、打合せの為に他の会社に行く場面も業務時間に含まれます。これらの移動時間を単純に減らすだけで、業務の負担が軽減されることになるのはお判りでしょうか。
具体的には、現場で作業をする職人さんとビデオ通話で指示を出す方法や、Zoomのようなビデオミーティングを採用して会議を行う方法があります。この移動時間を削減することで、業務効率が大幅に改善されるでしょう。
③外注可能な業務を増やす

外注可能な業務を増やすことも大切です。実は、外注できる業務はたくさんあるのですが、自社で行わなければならないと思い込んでしまっている場合が多くあります。
たとえば、「施工図の作成」は技術者が自らやらなければいけない仕事だと考えている人がいるのも事実です。もしくは、自分で書かないと把握できないはずだとおもっているのかもしれません。しかし、施工図は全て外注化している会社も事実としてありますし、大手などはそもそも専門部署があります。
つまり、そうしなければ進まないというのは思い込みで、正確に言うなら「そうした方が成長しやすい、理解しやすい」だけの話なのです。だって、そういう会社が問題なく運用できているわけですから。
このように、しっかりと業務の見直しと情報収集を行い、簡単な作業や、専門性の高い業務は他の人に任せていくという意識が必要なのです。「そうするべきだ」という考えはいったん置いておき、時間の削減を優先する時期だと言えるのです。
④教育にかける時間を減らす

教育にかける時間を減らすことのインパクトは大きいです。教育にかける時間が業務を圧迫しています。
特に中小ゼネコンでは、新人教育や若手育成をとりあえず現場に任せっきりになっている会社がたくさん見られますが、教育や育成というものはとてもハードルが高く、そして時間がかかるものです。経験した人なら大きくうなずくはずです。
鉄筋は鉄筋のプロに、壁紙貼りは壁紙のプロにお願いしていますよね。それと同じように、初期教育は、研修のプロにお願いすることも業務効率化と言えるのです。教える時間を削減できるわけですから。
今は動画を活用したe-ラーニングや、オンラインでの研修も行われております。どのみち現場のことは現場でしか教えることはできません。ですが、その前段である「施工図を読み取る知識」などは、机上で十分に学ぶことのできる基本です。
全部を現場に任せるのではなく、ある程度の底上げを外注に出すことによって、当たり前のことは当たり前にこなせる状況を作りましょう。現場で教えることが「基礎」から「応用」に代わるだけで、大きな時間を生み出すことができるのです。

⑤業務の方法自体を変える

効率化には様々な方法がありますが、最後にご紹介するのはやり方自体を変えるという方法です。最近よく聞くようになったDX化やAI活用、アプリの導入などはこれに該当するのです。
例えば、今まで自分のパソコンにしかなかった情報をクラウドを活用して共有したとします。すると、自分の業務を、遠くにいる人に手伝ってもらうことも可能になります。インターネットを使えば、場所は関係ないのですから。
現場の会議の議事録を、アメリカの人に作成してもらうこともできるのです。その方法も、自動的文字にしたり、それをわかりやすく箇条書きにしてもらうことも、最近のAI技術では簡単にできるのです。
それだけじゃなく、安全書類や写真の整理、掲示板の内容更新や役所への申請業務など、データにしてオンライン化することで得られる効果は沢山あります。「現地にいなけれができない」という常識は、とても限定的になってきているのです。
これにより、例えば子育て中の主婦やけがをして自宅を離れられない人などが自宅で建設業に参入してもらうことができます。業界の活性化にもなりますし、何より業務の効率化に繋がります。
どの業務を変えたいのかというターゲットが明確になれば、たくさんのツールを使うこともできます。スパイダープラスやアンドパットなどの新しいツールが効率的な業務を後押ししてくれているのです。活用しない手はないと言えるのです。
まとめ
業務効率化の方法を、大きく5つに分けてご紹介してきました。
駆け足で進みましたので、改めて並べておきましょう。
- 直接的な業務を減らすこと。無駄な業務を見直し、効率化を図ります。
- 移動時間を減らすこと。時間のロスを減らします。
- 外注できるものを増やすこと。やらなくてもいい業務を増やします。
- 教育に要する時間を減らすこと。効率的に成長してもらいます。
- 業務の方法を変えること。今までの常識を見直して効率化を図ります。
まずは業務を棚卸しすることで、一度やるべきことをばらばらに分解することを始めましょう。その上でこれら5つの方法を糸口にし、思いつくものをどんどんと上げていくのです。そして、それらを片っ端からやってみましょう。
具体的な方法は、YouTubeチャンネル「建設業を持ち上げるTV」でもご紹介しておりますので参考にしてみてください。
最後に、わかっておいてほしいのですが、始めからうまくいく方法はありません。そして、何か一つの方法をドカンと導入していった結果、いきなり早く帰れるようになるような施策もありません。
誰もがやったことのないチャレンジには、失敗が前提。それを粘り強く進めていかなければ成功はありません。そして100時間減らす方法を一気に導入するのではなく、5分減る方法を小さな施策を、たくさん進めていき、掛け算で大きくしていくイメージが大切です。
2024年4月には、もう強制的に残業規制関連法が施行されます。そうじゃなくても、若者にとって魅力ある業界を作っていかなくてはいけません。もう時間がないのです。
今こそ覚悟を決めて、時代に即した業務に変化させていきましょう。どれが正解かはわかりませんが、少なくとも同じところに居続けるのは不正解。その為には、実際にやってみることが必要です。
もしもどうしていいかわからない、何から手を付けていいかわからないという事であれば、一度現場ラボにお問い合わせください。まずはお話を聞き、しっかりとアドバイスさせていただきます。