今回は、現場ラボ運営の僕が建設業界の働き方改革に繋がる11の施策を実施した、その具体策についての内容になります。
本記事で学べること
今回取り組んだ施策はどれもハードルの低い働き方改革を意識したものになっています。つまり、誰でもすぐに取り組める内容になっています。
ハイレベルな施策はありません。だからこそ、1つでも気になるものがあったら実際に挑戦していただきたいと考えます。これからの建設業界のことを考えるならば、できない理由を探すのではなくどうすれば取り組むことができるのか、取り組んでみて何を感じるかという向き合い方が重要になってきます。
この記事を書いた人
株式会社 RaisePLAN 代表取締役
武田 祐樹(たけだ ひろき)
【これまでの活動】
- 総合建設業に17年在職後、独立起業。
- 建設現場の生産性向上支援や施工管理の教育支援を展開。
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家。
- YouTubeや音声配信、Instagram・メールマガジンなどで情報発信を行い、電子書籍の出版やオンライン講師、オンラインセミナー活動に積極的に取り組む。
- 建設業の現場効率化の仕掛け人としてAbemaPrimeに出演(2023年3月)。
建設現場の働き方改革に取り組む背景
まずは、僕が建設業の働き方改革に取り組む背景をお話しします。
建設業における働き方改革の目的
国が働き方改革を推進している目的は3つあります。
- 長期労働の是正
- 給与・社会保険の改善
- 生産性の向上
建設業界における働き方改革は、長期労働の是正、給与・社会保険の改善、生産性の向上を目指しています。この改革により、労働時間の適正化や労働条件の改善が進み、労働者の健康やモチベーションの向上、事故やミスのリスクの低減が期待されます。
給与や社会保険の適正化により、労働者の報酬と福利厚生が向上し、生活の質が向上します。また、生産性の向上を図るためには、労働プロセスや技術の改善、労働者のスキルアップや教育の充実、効果的なプロジェクト管理の導入が重要です。これにより、工期の短縮、コスト削減、品質向上が実現されます。
働き方改革は、建設業界の持続的な成長と発展に不可欠であり、安定した労働環境の確保や顧客満足度の向上にも寄与します。この大前提を踏まえて、次に僕が何を考えているのかについてお話しします。
現場ラボの活動
僕は建設業をワクワクする業界にするために活動しています。
運営している現場ラボでは『1人で5現場を鼻歌まじりに掛け持つ時代へ』というものを掲げて、どんどん楽しい業界にしていこうという取り組みをしています。
- 業務を減らすチャレンジ
- 若手が生き生きと成長するチャレンジ
- 建設業界を盛り上げるチャレンジ
ワクワクは挑戦から生まれます。古いやり方を刷新して、新しいツールを導入しながら成長できる・楽しんで仕事ができる建設業界にするためにチャレンジをしながら、建設業界をワクワクする業界にしていきたいと考えて活動しています。
自分の経験を振り返り、出した結論
まず取り組んだことは自身の施工管理の経験を振り、これから何に注力すべきかを考えました。そして、建設業界を変えるためには中小建設会社がすんなりと始められる施策を打っていく必要があるという結論に至りました。
大手は最新テクノロジーを駆使して働き方改革を進めようとしますが、中小建設会社はそれを真似することはできません。規模が違えば、資金源も違うからです。
しかし、大手ではないから無理というのではなく、中小ならどのようにやっていくかを考えなければいけません。その結果が、受け入れやすい施策から始めるというものでした。
やるべきことは『できることをきちんとやる』
大手がやっているような施策をイメージしてしまうと次のような考えが脳裏をよぎります。
- ツールはたくさんあるが高価
- ITに関心が薄い社員が多い
- 失敗した時のリスクが大きい
- そもそも時間が足りない
この考えが中小建設業にはあるのではないかと考えました。
だからこそ、僕がやるべきなのは『ハードルの低い働き方改革』であると感じました。
耳慣れない新しいツールや導入のイメージができないものは除外しました。そうではなく、聞いたことのあるもの、イメージできるものですぐにできることをしっかりとやっていくということに注力しました。
ITやデジタル化に拒否反応がある会社だったとしても、少し手を伸ばせば効果的な働き方改革に繋がるイメージを持ってもらえる施策、誰でもできる施策を導入していきました。
建設現場で業務効率化を達成した11の施策
ここからは、僕の考えたハードルの低い11の業務効率化策について説明していきます。
中には「そんなの当たり前だ」と感じるものもたくさんあるはずです。しかし、それらをしっかりとやっていくことで業務効率化を達成した施策になります。ぜひ、真似をして取り入れてみてほしいと考えます。
11の施策を試験運用した現場の概要
11の施策を実施した現場の概要は以下になります。
工事の概要
- 北海道
- 保育施設新築
- 請負金額7億超え
- 鉄骨造平屋建て
- 約2000㎡
- 工期は約10ヶ月間
現地スタッフの構成
- 70代の所長
- 60代の副所長
- 30代の派遣社員
- 武田(半リモート)
11の施策を実施した結果
2117時間の削減→10ヶ月以上の削減→つまりスタッフ1人の削減
- 現場の残業はほぼなし
- 無理して作業をしていない
- 半リモートも支障なし
- 無事故無災害
- 1週間の工期短縮
11の施策を実施した結果、上記のような結果になりました。効果としては非常に高かったのではないかと考えます。
11の業務効率化策の内容
ここからは11の施策の内容を解説していきます。
当たり前のことだと感じた方もいれば、なるほどと思った方もいるでしょう。その差が業界内のITに関する認識の差であるという意識を持っていただきたいです。そして、その差を埋めるためには成長が必要であるということを分かっていただきたいと思います。
クラウドによるデータ共有
クラウドストレージを活用したデータ共有の導入について解説しています。
現場のライブ配信
現場のライブ配信とは、インターネットを介して現場の生中継を行い、どこでも誰でも現場を見ることができる状況を作ることです。詳細は下記よりどうぞ。
会議・打ち合わせのZoom化
オンライン会議による業務効率化について解説しています。
現場監督の半リモート化
現地確認を完全に自動化するために、導入する機器や協力してもらうスタッフのハードルが高いため、半分だけの現場監督の業務をリモート化する取り組みになります。
無線スマホアプリの活用
無線スマホアプリの活用は、職人さんとのやり取りを現地に行かずに実現する方法を模索し立案したものになります。
オンライン事務員の採用
緊急性の低い仕事を選定・伝達し、空いた時間で対応してもらうオンライン事務の採用について解説しました。
朝礼の自動化
朝礼を自動化させた取り組みについて解説しています。
朝の忙しい時間に余裕が生まれることの効果は結果的に大きかったです。
現場専用ホームページの活用
現場ホームページを利用することで、いつでも誰でもどこからでも最新の現場状況が確認できるという施策の解説になります。
安全書類のクラウド化
安全書類のクラウド化は、現場ごとに膨大な量の紙を提出しなければ入場すらできないという、非効率な状況をテクノロジーでカバーしようという取り組みです
新規入場者教育の自動化
新規入場者教育の自動化は簡単に導入できて、なおかつ効果の高かった業務効率化施策になります。
外注先の新規開拓
外注先の新規開拓とは、できることは外注してしまおうという取り組みです。
建設現場で業務効率化を達成した11の施策まとめ
現場効率化のための11の施策をお伝えさせていただきました。
本記事で紹介した施策のどれか一つでも興味を持っていただけたなら、ぜひチャレンジしてみてください。そして、その結果、「意外と難しくない」と気づくことを願っています。実際に試してみて、どのような感想を持つかを重視してください。ハードルが高く感じるかもしれませんが、実際に取り組んでみると、そこまで難しいことではないことに気づくはずです。
アイデアはたくさん生み出せるものですが、大切なのは実際に挑戦してみることです。できないという前提ではなく、うまくいく方法を考えてみてください。丁寧に取り組んでみるだけで、建設業界に変化が訪れます。
チャレンジし続け、変革を続ける建設業界は、若者にとっても魅力的な場所になるでしょう。それによって人手不足の問題も解消され、より活気ある業界になることができます。私は建設業界をワクワクする場所にするために活動しています。皆さんと一緒に建設業界を盛り上げていければ幸いです。
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